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中学英語のおさらい解説動画シリーズ、第19回目は『現在完了形』です。日本人にとって馴染みのない現在完了形、実際どういう時に使うのかわかりますか? 現在完了形を使いこなすために知っておくべきことを解説しました。
※こちらの記事は、中学英語のおさらい動画の内容を要約したものです。
導入・目次
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現在完了形
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![]() | I have lived in Osaka for two years.(私は2年間大阪に住んでいます) have lived で「住んでいます」という意味になっているところがポイントです。 have lived の have は現在形で、lived は動詞 live の過去分詞形です。この「現在形 have+過去分詞」の形を現在完了形と呼びます。 |
![]() | 受け身のところでも解説しましたが、過去分詞は「過去の行為による結果の状態」でしたね。 今回の現在完了形における過去分詞は完了のニュアンスを使ったものになります。 |
![]() | そのため、現在完了形(主語+have+過去分詞)は「主語が~した状態をいまもっている」が基本イメージになります。 ここでポイントが2つあります。 1つ目は時制で「ある状態をいまもっている」、つまり「現在完了形は現在のことを表している」ということです。 2つ目は行為の主体で、過去分詞に含まれている「過去の行為」は主語自身がやったこととします。 この2つを合わせて「主語自身が過去に何かをやって、その結果としてある状態をいまもっている」これが現在完了形が表していることになります。 |
![]() | I have lived in Osaka for two years. 最初の例文に戻ると、「私は、過去のある時に住んで、その結果として住んでいる状態をいまもっている」となります。 これをこなれた日本語にすると「ある期間ずっと住んでいる」となるわけです。 |
![]() | 現在完了形のポイントをおさらいすると ・ある状態をいまもっていること となりますが、ここから次の3つの意味が出てきます。 ・過去に~の状態になり、いまもその状態だ それぞれの場合に分けて確認していきましょう。 |
![]() | まず「過去に~の状態になり、いまもその状態だ」で、現在完了の継続用法についてです。 I have been busy since last week.(私は先週からずっと忙しい) この例文で難しいのは been busy のところです。 |
![]() | been は be動詞の過去分詞なので、been busy は「過去のある時に、イコールで忙しい状態になって、その結果として、その忙しい状態をいまもっている」ということを表しています。 been はイラストのこの期間、「忙しい状態」とイコールでつながっていることを表しているわけで、日本語にすると「ずっと忙しい状態である」となります。 |
![]() | 次は「過去に~した経験をいまもっている」で、現在完了の経験用法についてです。 I have heard the song twice.(私はその歌を2回聞いたことがある) have heard は「過去のある時に聞いた経験をいまもっている」で「聞いたことがある」となります。 |
![]() | 最後に「過去に~した結果をいまもっている」で、現在完了の完了用法についてです。 I have just finished my homework.(私はちょうど宿題を終えたところです) have finished は「過去のある時に終えた結果をいまもっている」で「終えている」となりますが、just があるので「ちょうど終えたところ」となります。 |
![]() | ここまでのまとめです。 現在完了形(主語+have+過去分詞)は「主語が~した状態をいまもっている」が基本イメージです。 このイメージから次の3つの意味が出てきます。 ・過去に~の状態になり、いまもその状態だ |
現在完了形の補足
![]() | ここまで現在完了形の概要について説明してきました。ここからは現在完了形の補足として ・現在完了形と過去形の違い という2点について説明しておきたいと思います。 |
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![]() | まず「現在完了形と過去形の違い」からです。 過去形:I didn’t eat breakfast. 現在完了形と過去形は、訳したときに意味が似たものになるので、よく違いがわからないと質問されます。ここで押さえておきましょう。 |
![]() | まずは日本語訳から見ていきます。 過去形:私は朝食を食べなかった。 どちらも朝食を食べなかったという意味では同じですね。これらの違いですが、過去形は「過去のこと」、現在完了形は「現在のこと」を言いたい時に使います。ただ、文脈がないとわかりにくいので、前後の文脈を加えてみましょう。 |
![]() | 過去形:私は朝食を食べなかった。なぜなら、朝起きたのが遅かったからです。 現在完了形:私は朝食を食べていません。だから、いますごくお腹がすいています。 過去形の方では、「食べなかった」に対して「朝起きたのが遅かった」が続いています。このように過去のことにつなげたいときは過去形を使うわけです。 現在完了形の方では、「食べていません」に対して「いまお腹がすいています」が続いています。現在のことにつなげたいときは現在完了形を使うわけですね。 要するに、つなげたいことに応じて現在完了形と過去形を使い分けるということになります。 |
![]() | 次に「過去の行為を主語がやったことになる理由」についてです。 現在完了形の基本イメージでいえば、「行為の主体は?」の部分です。 過去の行為は主語がやったこととする、そういうもんだと言ってしまえばそれまでなのですが、どうしてそうなるのか探究したい方もいらっしゃると思うので、ここで取り上げておきたいと思います。 |
![]() | まず例文を2つあげておきます。 例文1:I have finished my homework.(私は宿題をやり終えています) 例文2は、かつて使われていた完了表現です。昔は、例文2のように表現していたんですね。 |
![]() | さて、かつての完了表現である例文2には問題点がありました。それは「誰が宿題をやったのかわからない」ということです。 ふつうは私がやったと解釈しそうなものですが、文言上は「やり終えた宿題をもっている」だけなので、たとえば、親にやってもらった場合でも、この表現は使えるわけです。 つまり、正確に伝えるためには、前後の文脈でいちいち説明しなくてはいけなくて、それは面倒だし、説明なしでもクリアに相手に伝わるようにしたいということで例文1のように「have+過去分詞」の形に変えると同時に、この形の場合は、主語自身がやったということにしよう、そういう風に文法的なルールを定めたんだと思います。 なお、あくまでこれは私の推測ですので、あしからずご了承ください。 ただ、例文2のスタイルがかつて使われていた完了表現というのは間違いありません。そして、このような経緯だとすれば、現在完了形の構成「have+過去分詞」に含まれている違和感も説明できるようになります。 どういうことかというと、過去分詞は「ある状態」でしたよね。つまり、「have+過去分詞」は「have+形容詞」だと言ってもよいわけです。 でも、ふつうであれば、have の後には名詞がこないとおかしいですよね。例文2のように have の後ろに my homework と名詞が続いてくれれば意味をとることができます。 ただ、さきほど述べたように、例文2の場合だと誰がやったのか明確ではないというデメリットもやはり発生はしてしまうわけです。 どちらに転んでも痛し痒しという状況だったわけですが、当時の文法学者の方々は最終的に、例文1の現在使われている現在完了形の形式のほうがメリットが大きいと判断して「have+過去分詞」をスタンダードに据えたのだと思います。 長々と説明してしまいましたが、主語自身が過去の行為をやったことになっている背景には現在完了形の成り立ちという経緯があることを押さえておいてもらえたらと思います。 |
![]() | 現在完了形の補足まとめです。 現在完了形は「現在のこと」を表します。つまり、現在のことにつなげたいとき現在完了形を使うわけです。 また「have+過去分詞」の形の場合は過去の行為は主語自身がやったことになるわけですが、これは現在完了形の成り立ちという経緯を考えると、そのように設定したということになるんだろうと思っています。 |
CoffeeTime
![]() | ▼今井くんとの対談 ・have lived は直感的ではない |
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編集後記
今回解説動画の準備をして改めて思ったのは、(現在完了形ってやっぱり不自然だよな…)ということでした。動画内で「人為的に作られた節がある」旨を伝えていますが、他の文法事項と比べてちょっと異質なんですよね。
ただ、出自は人為的なものだったとしても、使っていけば違和感はなくなっていきます。今回は皆さんが「確かにこの現在完了形の形式を使うしかないな…」と腹をくくって、現在完了形を使っていってもらえるように解説したつもりです。
英語を第二言語として習う我々にとって、「英文法=絶対的なもの」のように感じてしまうところはありますが、今回の動画を見て、なんだ文法も結構揺れ動くもんなんだな…と感じてもらえたら、とても嬉しいです(遠藤)