前置詞 for のイメージと意味・用法まとめ

この記事は約9分で読めます。

前置詞 for は「~のために」という意味が有名ですが、それ以外にも「賛成する」や「対価」など「~のために」では捉えられない用法もあります。この記事では for のコアイメージから、for の持つ意味・用法について解説します。

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for のコアイメージ

for のコアイメージは「(目の)前の方向」です。

実際に for と言いながら両腕を前方に広げてその腕と腕がつくりだす領域とその方向を意識してみると、for のイメージがつかみやすくなると思います。

for の主な意味

英語 意味 例文・フレーズ
for ~のために、~のための a present for you(あなたへのプレゼント)
~にとって tough for me(私にとって大変)
~に向かう leave for Tokyo(東京に向けて出発する)
~に賛成する all for your plan(あなたの計画に大賛成)
[対価]~で for 237 dollars(237ドルで)
[基準]~のわりに for one’s age(年齢のわりに)
[範囲]~の間 for 40 minutes(40分間)

for は幅広い意味で使われており、中にはコアイメージから連想しにくい意味もありますよね。そこで、for のコアイメージからどう発想すれば、そのような意味が出てくるのか、その手がかりとして用法イメージを用いて解説していきます。

これらの用法「対象」「~に向かう」「~を求めて」「代わりを提示する」「前提を提示する」「範囲・期間」について、例文で確認していきましょう。

 

英会話イメージリンク習得法

for の用法

「対象」を表す for

「両腕を広げたところにあるモノ」というイメージから「対象」を表す用法が派生しています。

~のために・~のための

例文:This is a present for you.(これはあなたへのプレゼントです)

for you は「あなたのために」という意味。腕を広げた領域内に「あなた」がいるイメージで、for は対象を表しています。

 

~にとって

例文:It was tough for me to clean my room.(部屋を掃除することは私にとって大変でした)

for me は「私にとって」という意味。大変な状態(It was tough)になっている対象として「私」がいるイメージです。

for me to clean my room は「私が部屋を掃除すること」という意味でもあり、for me は to clean my room の意味上の主語になっています。

It was tough for me(私にとって大変だった)+ for me to clean my room(私が部屋を掃除すること)となり、合わせて「部屋を掃除することは私にとって大変でした」という意味になります。

 

~に対して

例文:Thank you for your kindness.(ご親切に感謝します)

for your kindness は「あなたの親切に対して」という意味。Thank you であなたに感謝しているわけですが、あなたの何に感謝しているのか、その対象を for 以下で表しています。

 

「先に向かう動き」を表す for

「両腕を前方に広げた、その方向」というイメージから「先に向かう動き」を表す用法が派生しています。

~に向かう

例文:The train has already left for Tokyo.(その列車は東京に向けて既に出発しています)

leave for Tokyo は「東京に向けて出発する」という意味。for はどこに向かうのかを表しています。

この「~に向かう」は to と意味がよく似ているので、まぎらわしいですね。その違いは、to が「到達点を指定している」のに対して、for は「方面・範囲を指定している」という違いになります。

 

「何かを求める動き」を表す for

「両腕を前方に広げた先にあるモノ」というイメージから「何かを求める動き」を表す用法が派生しています。

~を求めて

例文:I’m waiting for the bus.(私はそのバスを待っています)

wait for the bus は「そのバスを待つ」という意味。for は何を求めて待っているのかを表しています。

 

~に賛成する

例文:I’m all for your plan.(あなたの計画に大賛成です)

all for your plan は「あなたの計画に大賛成」という意味。for の腕を広げるイメージから「~の方を向いている」→「~に賛成する」となります。

 

「代わりを提示する」for

ここまでは、「人が両腕を広げている、その腕と腕の間の領域」のように人が基点となっている用法をメインに扱いました。ここからはモノを基点とした場合について考えていきます。

結論から述べると、「モノから広がる領域」は「モノの写し絵・影絵」のようなイメージとなり、そのモノの「一側面」や「言い換え」などを表します。

交換・対価

例文:I bought the diamond for 237 dollars.(私はそのダイヤモンドを237ドルで買った)

the diamond for 237 dollars は「そのダイヤモンドを237ドルで」という意味。for はそのダイヤモンドの代わりとなるものを表しています。

イメージとしては、そのダイヤモンドの配下に代わりとなるものを投影するような感じです。

 

意味・言い換え

例文:Red is for danger.(赤色は危険を表しています)

red is for danger は「赤色は危険を表す」という意味。for は赤色という色のもつ意味を表しています。

イメージとしては「赤色」の配下に意味や言い換えを投影するような感じです。

 

代理・代表

例文:Please say hello to your family for me.(私の代わりにご家族によろしくお伝えください)

for me は「私の代わりに」という意味。for は代理を表しています。

この場合は、「Please say hello to your family」という文章の配下に「私」を投影するような感じです。

家族へのメッセージの根っこに私がいる」→「私の代わりに家族へのメッセージを伝えてもらう」というわけです。

 

「前提を提示する」for

for が表す「モノの一側面」は、そのモノの「前提」を表すこともあります。具体的には、そのモノの「目的・用途」「理由・原因」「基準・対比」などです。詳しくは例文で確認していきましょう。

~するための(用途)

例文:I used a knife for cutting bread.(私はパン切りナイフを使った)

a knife for cutting bread は「パンを切るためのナイフ」という意味。for は「~するための」という用途を表しています。

ナイフの配下に「パンを切ること」という用途を提示しています。そのナイフが何を前提として作られたかを説明しているわけです。

 

~で(理由・原因)

例文:Kyoto is famous for its old temples.(京都は京の古いお寺で有名です)

famous for its old temples は「その古寺で有名」という意味です。for は「~で」という理由を表しています。

「Kyoto is famous」という文章の配下に「その古寺」という理由を提示しています。for は何で有名なのかを説明しているわけです。

 

基準・対比

例文:She looks young for her age.(彼女は年齢のわりに若く見える)

for her age は「彼女の年齢のわりに」という意味。for は「~のわりに」という基準を表しています。

「She looks young」という文章の配下に「彼女の年齢」という基準を提示しているイメージです。

 

例文:According to a recent survey, there is one divorce for every two marriages.(最新の調査によると、2件の結婚ごとに1件の離婚がある)

one divorce for every two marriages は「2件の結婚ごとに1件の離婚」という意味。for は対比を表しています。

ただし、for の表す対比は純粋な「A 対 B」という関係ではありません。この例文のように「1件の離婚」の配下に「2件ごとの結婚」という基準を提示することで対比を表していることに注意してください。

 

「範囲・期間」を表す for

最後はお馴染みの用法ですね。for の「両腕を広げた範囲」というイメージから「範囲・期間」を表す用法が派生しています。

 

例文:Bake the cake for 40 minutes.(ケーキを40分間、焼きなさい)

for 40 minutes は「40分間」という意味。for は範囲・期間を表しています。

 

まとめ

for のコアイメージは「(目の)前の方向」です。「腕と腕がつくりだす領域」だと考えるとわかりやすいでしょう。

for の主な用法は「対象」「~に向かう」「~を求めて」「代わりを提示する」「前提を提示する」「範囲・期間」です。

カテゴリ 用法 フレーズ 意味
対象 ~のために・~のための a present for you あなたへのプレゼント
~にとって for me 私にとって
~に対して for your kindness あなたの親切に対して
先に向かう動き ~に向かう left for Tokyo 東京に向けて出発する
~を求めて wait for the bus そのバスを待つ
~に賛成する I’m all for your plan 私はあなたの計画に大賛成
代わりを提示する 交換・対価 the diamond for 237 dollars そのダイヤモンドを237ドルで
意味・言い換え red is for danger 赤色は危険を表す
代理・代表 say hello to your family for me 私の代わりにあいさつする
前提を提示する ~するための(用途) a knife for cutting bread パンを切るためのナイフ
~で(理由・原因) famous for its old temples 古寺で有名
基準・対比 for her age 彼女の年齢のわりに
範囲・期間 for 40 minutes 40分間

 

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コメント

  1. 桜木 より:

    forの用法が細かく別れて解説されているので、ひとつひとつ理解することができた。特に、「代わりを提示する」forの交換・対価「〜の代わりに」や、「前提を提示する」forの基準・対比「〜のわりに」は、意味がパッと出てこないので、ここで整理できてよかった。

  2. Hattora より:

    forは前置詞の中でも、たくさん意味があるもので混乱しやすいので、まとめてもらえたのは有り難いです。特に「〜に向かう」のforとtoの違いは、ずっと気になっていました。この説明でも、なんとなくわかったような気はするのですが、具体的な例文があると、より嬉しいかと思います。動詞によってtoを使うものとforを使うものがあるのが、いまいちわかりません。

  3. 猫スーパー より:

    手を開いて求めた幅で動きを表す図はわかりやすくて良いと思いましたが、代わりに提示するの図、前提を表示するの図だけが、なんだか違和感があって理解しずらかったです。それらの英文だと理解できるのですが、ダイヤがお金に変わることやパンを切ることに、あの図では動作が少々読み取りにくいなと思いました。

  4. 匿名 より:

    forには思っている以上にたくさんの使い方があるんだなと思いました。一つ一つ使い方について丁寧に説明してくれていたので、頭の中の整理ができました。コアイメージの図を覚えておけば比較的理解しやすいと思います。他の前置詞との使い分けについても学習したいので、ほかの記事も読んでみようと思います。

  5. 匿名 より:

    絵で描かれていて大変わかりやすかったです。

  6. トマトのおかげ より:

    forの様々な意味について、両手を広げたエリアと方向を意識しての説明がわかりやすく頭に入ってきました。Red is for danger.の意味・言い換えは、当初「?」と思ったのですが、”投影させる”という説明で納得しました。ついついイディオムで考えがちですが、今後はイメージから理解を深めるようにしていきたいと思いました。

  7. 友紀 より:

    forは今までもあまり間違わずに使えていた英語表現だと改めて確認しました。しかし「目の前の方向」というコアイメージは、言われないと、又は解説されないと多分分らなかったと思います。正確なイメージの把握というのは、いつも気づきがありますね。

  8. 大洗 より:

    前置詞 for はたくさん使い方があって、初学者にとり理解が難しい項目です。コアイメージが目の前の方向性にあることを使って説明するという方法で、途中まではすっきり理解できました。ところが、代わりを提示するforの項目から突然配下という言葉が登場して、いささか混乱してきました。コアイメージと配下という言葉が結びつかなかったのが、混乱の理由です。配下という言葉を、もう少し具体的なメージのある言葉に置き換えることができればなと感じました。

  9. きゃぷ より:

    forに対するコアなイメージを持っていなかったので、目の前にある腕の間の領域、という例えはとてもわかりやすいと思いました。コアなイメージを理解していおくことで、目的地を示す場合などにtoとforで迷うことなく使い分けることができると思います。

  10. EveryCrime より:

    for のコアイメージと用法イメージを掴んでおくと、だいたいの文章は訳すことができると感じました。熟語として覚えておくことも大切ですが、for にはたくさんの用法があるので、イメージで感じ取る方が早いのかなと思いました。

  11. 匿名 より:

    「(目の)前の方向」と「腕と腕がつくりだす領域」というコアイメージによって、いろいろなforの用法を関連付けて覚えることができたので、とても理解がしやすく、イメージもしやすいと感じました。素晴らしい記事だと思います。

  12. アーモンドチョコレート より:

    電子ブックは目が痛くなるので紙の本にしてください

  13. 朝木御膳 より:

    イラスト含め、分かりやすいです。
    英語で書かれているマニュアルの翻訳で 「For properly prepared loops, (略)」 という文頭にforが来る箇所があり、「適切に準備されたループの『場合』、(略)」として、コアイメージの「対象」「範囲・期間」で理解できました。
    forは結構色々な意味(イメージ)を持っているのですね。
    ありがとうございました。

  14. オレンジジュース より:

    コアイメージの解説、とても分かりやすく助かりました。

    個人的にですが、手を広げた範囲から光を当てるイメージで解釈するとさらに腑に落ちました。
    Forの使い方が2分される意味も、対象の照らされてる部分を意識するか、対象が照らされて背後にできる影を意識するかの違いなのだと納得しました。

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