to不定詞の意味・用法まとめ(3用法の見分け方付き)

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to不定詞とは何者なのでしょうか。to不定詞のコアイメージを元に、to不定詞の3用法(名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法)について解説しました。よく質問される「3用法の見分け方」についても紹介しています。

中学英語イメージリンク

to不定詞とは

まず「不定詞」が一般的にどう説明されているのか確認してみましょう。

不定詞(ふていし)とは、動詞を起源とする、名詞、形容詞、副詞など他の品詞の働きをする準動詞の一種。…(中略)…動詞の辞書の見出しの語形として使われる。(出典 不定詞 – wikipedia

「準動詞」など難しい言葉が出てきますが、ご安心ください。英語における「不定詞」とは「動詞の原形」と同じことです。

to不定詞 = to + 動詞の原形

※参考書や解説サイトによっては「to + 動詞の原形」を「不定詞」と呼んでいるものもあります。

to不定詞は to と動詞の原形を組み合わせただけのものなのですが、名詞形容詞副詞に代表される様々な働きをします。

用法 意味 例文
名詞的用法 ~すること like to play soccer(サッカーをすることが好き)
形容詞的用法 ~するための homework to do(するための宿題、するべき宿題)
副詞的用法 ~するために go to the library to study(勉強するために図書館に行く)

このような複数の意味をもつのは to によるところが大きいので、まず to のイメージを確認してから、to不定詞の用法を確認していくことにしましょう。

 

to のコアイメージ

to のコアイメージは「矢印と到達点」です。

 

例文:He sent presents to the children.(彼は子どもたちにプレゼントを送った)

to the children は「子どもたちに」という意味。プレゼントが向かう先にあるのは子どもたち、というわけです。

※to の持つイメージ・意味についての詳細は「前置詞 to のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。

 

英会話イメージリンク習得法

to不定詞の3用法

to不定詞の名詞的用法

to不定詞が目的語になる場合

例文:He needs to see a doctor.(彼は医者に診てもらうことが必要だ)

to の向かう先にあるものが see a doctor(医者に会う=医者に診てもらう)なので、to see a doctor は「医者に診てもらうこと」という意味になります。

このように「向かう先にある動作」に焦点を当てた用法が「to不定詞の名詞的用法」で、「~すること」と名詞(固まり)のように扱います。

また向かう先にあるというイメージから、「これから先のこと」というニュアンスもよく含まれます。

 

to不定詞が主語になる場合

例文:To know her is to love her.(彼女を知ることは彼女を愛することだ)

to によって指し示した先にあるのが know や love だというイメージで、to know は「知ること」、to love は「愛すること」という意味になります。

 

この例文のように主語に to不定詞をもってくることは、最初にいきなり何かを指し示すようなものです。

このイメージから「~することになれば」というニュアンスが含まれるようになります。つまり、この例文は「(これからもっと)彼女を知ることになれば、(もっと)彼女を愛することになるだろう」と言っているわけです。

※この “To know her is to love her.” というフレーズはロックバンド Beatles(ビートルズ)の楽曲名で、邦題は「会ったとたんに一目惚れ」となっています。片思い中の男性の気持ちを歌った曲です。

 

to不定詞の形容詞的用法

直前の名詞が意味上の主語になる

例文:I’m looking for someone to take care of my dog.(犬の面倒を見てくれる人を探しています)

まず、I’m looking for someone は「私は誰かを探しています」という意味です。

続く to は直前の名詞 someone(誰か)を引っ張って、その内容として take care of my dog(私の犬の世話をする)を指し示しているので、「(その誰かとは)私の犬の面倒を見てくれる」という意味になります。

 

このように「直前の名詞を引っ張って、その内容を指し示す」用法が「to不定詞の形容詞的用法」で、英語の流れをそのまま訳すと「その〇〇とは~する」となります。

「その〇〇とは~する」を自然な日本語にすると、「~するための〇〇、~するべき〇〇」のようになります。

 

直前の名詞が意味上の目的語になる

例文:I have a lot of work to do this month.(今月はたくさんやるべき仕事がある)

I have a lot of work は「私はたくさんの仕事をもっています」、(work) to do this monthは「(その仕事とは)今月やらなければいけない」という意味です。

work は do の意味上の目的語になっています。

 

直前の名詞と同格の関係である

例文:She has a strong desire to be an actress.(彼女は女優になりたいという強い願望を持っています)

She has a strong desire は「彼女は強い願望をもっています」、(desire) to be an actress は「(その願望とは)女優になる」です。

このように直前の名詞の具体的内容を to不定詞が表している場合、直前の名詞と to不定詞は同格の関係にあると言います。

 

to不定詞の副詞的用法

目的を表す

例文:He is working hard to buy a new car.(彼は新車を買うために一生懸命働いています)

まず、He is working hard は「彼は一生懸命働いています」という意味ですが、もしここで文を切ると、聞き手は結論だけを聞かされているような感じになるので、「どうして一生懸命働いているの?」という疑問が浮かんでくるはずです。

※みなさんも、友だちとの会話で「彼は一生懸命働いているんだ」と聞かされた場面を想像してみてください。想像してみると「ふーん、そうなんだ……。なんで?」と思うのが自然だということが、ご納得いただけると思います。

このような聞き手の疑問に答えるために、to で「それはね…」と別のところを指さして、その先には buy a new car(新車を買う)があると続けます。つまり、to buy a new car は「(その目的は)新車を買うこと」という意味になるわけです。

 

このように「行為の目的や原因を指し示す」用法が「to不定詞の副詞的用法」で、「その目的・原因は~すること」という意味になります。

 

原因を表す

例文:I’m very happy to meet you.(あなたに出会えてとても嬉しいです)

I’m very happy は「私はとても幸せです」、to meet you は「(その原因は)あなたに出会ったこと」という意味です。

to は I’m very happy という状態の原因として meet you を指し示しています。

 

結果を表す

例文:He grew up to be a famous artist.(彼は成長して、有名なアーティストになった)

He grew up は「彼は成長した」、to be a famous artist は「(その結果)有名なアーティストになった」という意味です。

to は He grew up の結果として be a famous artist を指し示しています。

この結果を表す用法は、to に含まれている「別のところ」のニュアンスから「思いがけないこと」を述べるときによく使われます。

 

判断の根拠を表す

例文:He must be a genius to understand the theory.(その理論を理解するなんて彼は天才に違いない)

He must be a genius は「彼は天才に違いない」、to understand the theory は「(その根拠は)その理論を理解したこと」という意味です。

to は He must be a genius という判断の根拠として understand the theory を指し示しています。

 

to不定詞の3用法の見分け方

学校の試験によく出てくるto不定詞の3用法の見分け方のコツをお伝えします。

 

まず、最初に見るべきは、to不定詞が固まり(~すること)として捉えられるかどうかです。捉えることができる場合は名詞的用法になります。

固まり(~すること)で捉えられない場合は、to不定詞の直前が名詞かどうか確認します。直前が名詞でなければ副詞的用法になります。

 

問題は直前が名詞の場合です。

to不定詞が直前の名詞の内容を指し示している場合(その◯◯とは~する)は形容詞的用法になります。

to不定詞の直前で区切って、その行為の目的や原因などを指し示している場合(その目的・原因は~すること)は副詞的用法になります。

 

直前が名詞である場合の形容詞的用法と副詞的用法の見分け方のポイントは「to不定詞の直前で区切るかどうか」です。

to不定詞が直前の名詞とつながっていて区切らなければ形容詞的用法、to不定詞の直前で区切ることができれば副詞的用法というわけです。

これについては練習問題で確認してみましょう。

 

練習問題:to不定詞の3用法の見分け方

次の英文に含まれている to不定詞が3用法のいずれに当てはまるか選べ。(名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法)

問題1:Our plan is to climb the mountain tomorrow.

問題2:would you like something to drink?

問題3:You were careless to make such a mistake.

問題4:I visited Nara to see my uncle.

●解答1:Our plan is to climb the mountain tomorrow.

名詞的用法

to climb the mountain tomorrow は「明日その山に登ること」という固まりなので名詞的用法。

 

●解答2:Would you like something to drink?

形容詞的用法

to drink はここでは「飲むこと」と捉えられないので、名詞的用法ではありません。

次に、直前の something は名詞です。something / to drinkのように区切ると「飲むために、何かを欲していますか?」のようなニュアンスになるので不自然です。

この場合は、something to drink と続けて、to drink は something の内容を指し示していると解釈するのが普通です。よって、形容詞的用法となります。

 

●解答3:You were careless to make such a mistake.

副詞的用法(根拠)

to make such a mistake はここでは「そんなミスを犯すこと」とは捉えられないので、名詞的用法ではありません。

また直前の単語 careless は名詞ではないので、副詞的用法となります。

この例文では、to make such a mistake は「その根拠は~すること」と、あなたは不注意だった(You were careless)と判断した根拠を付け足しています。

 

●解答4:I visited Nara to see my uncle.

副詞的用法(目的)

to see my uncle はここでは「叔父に会うこと」と捉えられないので、名詞的用法ではありません。

次に、直前の単語 Nara は名詞です。I visited Nara / to see my uncle と区切ることで「叔父に会うために、奈良を訪れた」となります。よって、副詞的用法です。

なお、形容詞的用法だとすると、to see my uncle は Nara の内容を指し示すことになりますが、「その奈良とは、私の叔父に会う」のような意味不明な解釈しかできないので、やはり不適切となります。

 

問題2~4における区切りは会話における呼吸と同じです。読み上げたときに、一呼吸いれるかどうか、something to drink、careless to make、Nara to see それぞれ音読して確かめてみてください。

 

英会話イメージトレース体得法

まとめ:to不定詞の3用法と見分け方

to のコアイメージは「別のところに向かう動き(矢印)とその向かう先にある対象(到達点)」です。

to不定詞の主な用法は「名詞的用法(~すること)」「形容詞的用法(~するための/その◯◯とは~する)」「副詞的用法(~するために)」です。

用法 見分け方 代表的な意味
名詞的用法 固まりとして捉えられる ~すること
形容詞的用法 直前が名詞で、その内容を指し示している ~するための
その◯◯とは~する
副詞的用法 直前で区切って、行為の目的や原因を指し示している ~するために

 

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  • 読みやすいように編集しました。
  • 記事中に広告がありません。
  • 練習問題を設けました。
  • 参考例文を追加しました。

また電子書籍なので、キーワードで横断的に検索することができます。リファレンス用などとしてぜひご活用ください。

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to不定詞
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コメント

  1. dev より:

    to不定詞もコアなイメージはtoのイメージを踏襲している、というのが理解できる説明がされていました。また、3用法の見分け方のチャートはわかりやすく、これに従えば基本的には判断に迷うことはないと思いました。

  2. パラッパラッパー より:

    プレゼントの部分のイラストは、toの動きがすごくわかりやすいなと思いました。また、直前の名詞が意味上の主語になるという部分の解説は簡単な英単語を使った文章で紹介されているのですんなりと頭に入ってきて良かったです。

  3. 雷写真家 より:

    to不定詞は見分け方が分かりづらいのですが、用法ごとに詳しくまとまっていたと思う。特に、3用法の見分け方の図解が非常に良くビジュアル化されていると感じた。また、練習問題も実践的でよかった。

    • コジコジ より:

      区別のくだりはとてもわかりやすいと思います。ですがそれでも悩みます。
      ①l want someone to love me.
      ②l want someone to love.
      上記はいずれもtoの前で切れると思います。
      ですが、②は形容詞、副詞いずれもいけそうな気がします。
      大勢に影響しないのですが、気になります。

  4. マンボ より:

    英語の本やインターネットサイトを読むとよく”to 不定詞”を見かけます。それだけ重要な用法だといくことは学生のときにも思った記憶があります。今回の記事では「to 不定詞の3用法イメージ」が理解しやすかったです。また、例文についての説明がわかりやすかったです。中学生や高校生には最高の記事だと思います。

  5. へいせい より:

    とても充実した内容でした。to不定詞は難しいですが、図を用いられておりイメージで理解することができました。私が英語を勉強していた頃にこのような記事に出会いたかったと思える記事でした。ぜひ多くの方に読んでもらいたいです。

  6. 歯磨き大切 より:

    toは単体ではおおむね把握しやすいものでも、組み合わせて使うto不定詞と言うのはいきなり複雑さを増していて学生時代苦手でした。その見分け方を記事の後半の方で図で示しているので非常に分かりやすくなっており助かりました。

  7. 旅行女子 より:

    to不定詞については、そんなに難しく思ったことはなかったので、記事を読んで、再確認をしたという感じでした。しかし、見分け方はとても分かりやすいと感じました。今までなんとなくでやってきた見分け方を、きちんと言葉で説明されていてスッキリしました。

  8. パインdeパイン より:

    一番はじめの説明で、英語における「不定詞」とは「動詞の原形」と同じことです、という文章がありますが、私にとってはto + 動詞の原形が不定詞であるというイメージで長いこと理解してきたので、これとの整合性はどうなのかと思いました。それ以外はとても明快な説明に感じました。

  9. 秋の花火 より:

    to不定詞の用法の使い分けは難しい印象がありましたが、こちらの記事は用法の組み立てから訳し方まで丁寧に解説されておりとても分かりやすかったです。難しいイメージを払拭するために簡単な例題と図表を用いられていることに好感が持てました。強いて言うならば、動名詞の用法との比較もあればさらに素晴らしい記事になると思います。

  10. 山口 より:

    to 不定詞の主な用法「名詞的用法(~すること)」「形容詞的用法(~するための)」「副詞的用法(~するために)」の見分け方がわかりやすく説明されていました。練習問題もあり丁寧な解説がとても参考になりました。

  11. 匿名 より:

    前置詞、不定詞、名詞等、日本語が難しい、短い単語のtoがより難しく感じました。今まで無意識にtoをforやatなどとごっちゃに使っていたようなのでもうこれは体で覚えるしかない。
    この記事の内容は深くてよかったと思います。

  12. じゃがじゃが より:

    to不定詞の用法を改めて学び直すことが出来ました。見分け方の説明が非常にわかりやすかったので、副詞的用法と形容詞的用法の見分け方も一目瞭然でした。練習問題もやってみましたが、説明のお陰で間違いなく解くことが出来ました。

  13. より:

    to不定詞という言葉自体は久しぶりに聞いた気がしますが普段なんとなく使っていました。でもこうやってまとめを見てみるといろいろな使い方があるんだなと思いました。to 不定詞の3用法の見分け方というコーナーは学校でもこのような教え方をしてほしいなと思いました。

  14. 寒がりさん より:

    to 不定詞は理解するのが大変であると感じましたし、その理解で本当に正しいのかを確認したいと感じたので、いろいろな練習問題で自分が理解できているのかをしっかりと確認することができたという点がとてもよかったです。

  15. 李月さま より:

    to不定詞の用法の使い分けは難しい印象がありましたが、こちらの記事は用法の組み立てから訳し方まで丁寧に解説されておりとても分かりやすかったです。難しいイメージを払拭するために簡単な例題と図表を用いられていることに好感が持てました。強いて言うならば、動名詞の用法との比較もあればさらに素晴らしい記事になると思います。

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