§1-1 日本語と英語で認知の順序が逆になっている

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※本記事は書籍『英会話イメージトレース体得法』の一部をWeb公開したものです。

日本語と英語、それぞれの全体イメージを描いて、詳しく順番をみてみましょう。

・日本語の全体イメージ

・英語全体イメージ

日本語は周辺から中心に向かって1、2、3、4と順番付けられているのに対して、英語は中心から周辺に向かって1、2、3、4、5、6と順番付けられていることがわかりますね。

このように日本語は「周辺から中心へ」言葉を並べていく、英語は「中心から周辺へ」単語を並べていくという大きな方針があります。

これと合わせて、よく説明されるのは「動詞」の位置です。日本語では最後のほうに動詞が述べられるのに対して、英語では最初のほうに動詞が述べられるというものです。

これは正しい指摘ですが、私たち日本人が英語を話すときに「動詞」よりも、もっと気をつけるべき点があります。それは、さきほどの例文で言えば「昨日/ yesterday」です。

英語ではyesterdayが6番目に述べられるのに対して、日本語では「昨日」が1番目にきていますね。実は、日本語で「昨日」が1番目にくるために、私たちは英語で「昨日、学校で先生に怒られた」ということを言おうとしたとき、yesterdayから始めてしまいやすいのです。yesterdayから言わずにはいられないと言ってもいいかもしれません。

なぜでしょうか? その理由は、日本語の世界では「周辺」で述べられることが文脈に影響を及ぼすからです。

先ほど挙げた例文で「学校で」という言葉があります。これは「学校」という状況設定をしているわけです。そのため、そのあとの内容は学校で起きることに自動的に絞られます。私たちにとっては当たり前のことですよね。

別の例も挙げてみましょう。ある女子高生が「明日、渋谷の映画館で……」と言ったとしましょう。私たちは、この時点である程度、話の内容を推測することができます。

まず「明日」なので予定や約束などについての話でしょう。次に「渋谷」ですが、渋谷は若者の街であり、そのイメージに沿った話になりそうです。最後は「映画館」なので、もしかすると「恋人とのデート、もしくは女の子同士のお出かけの約束」かもしれないと登場人物まで推測できます。

このように日本語では周辺で述べられることが文脈に制限を加えていきます。そのため、十分に内容が絞られていれば、最後の結論まで述べなくても伝わるようなパターンも出てくるのです。

一方、英語ではどうでしょうか? 英語におけるyesterdayやat schoolには、そのあとの内容を絞る働きはありません。

それは、英語ではyesterdayやat schoolの前に、既に起きたこと(The teacher got angry at me)が述べられているからです。そのためyesterdayやat schoolは、純粋に場所や時を表すだけの働きしかしていないわけです。

私たち日本人は英語を話すときにも、ついつい日本語的な感覚から周辺のyesterdayやat schoolから始めてしまう傾向があります。

しかし、 yesterday や at school から始めた途端に、どんどん範囲を絞っていこうとする日本語的な発想になってしまい、英語的な世界観に乗れなくなってしまいます。その結果、そのあとの単語を続けにくくなるわけです。

英語に取り組むときは「範囲を絞っていく」という日本語的な発想方法をやめることが1つのポイントになります。

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【Coffee Break】日本語と英語の世界観は異なる

遠藤 私が一番問題だと思うのは、私たち自身が日本語の世界観についてちゃんと学んでいないということです。日本語の文法って、あまり聞いたことがないと思いますが、今井くんは日本語の文法について何か知っていますか?

今井 愚問ですね。国語の成績はひどいものでしたよ。

遠藤 それは失礼しました(笑)一般的に英語と日本語の文法の違いがどうなっているかは、次のように説明されるんです。

英語の基本は、S(主語)V(動詞)O(目的語)
日本語の基本は、S(主語)O(目的語)V(動詞)

たとえば「先生が私を怒った」だと、「先生」がSで、「私を」がO、「怒った」がVとなるわけです。

今井 ふーん。そうなんですね。

遠藤 しかし、私はこれが日本語の基本だと説明されることに強い不満をもっているんです。ストレートな言い方をすれば、こんなのありえないって思っているわけです。

今井 なぜですか?

遠藤 たとえば、今井くんが久しぶりに会った同級生と話しているとしますね。そのときに今井くんは相手に「先生が私を怒ったんだー」なんて言うでしょうか?

今井 ちょっと変ですね。何が変なんだろう?「私」が表現されているから?

遠藤 それもありますが、普通は「昨日、学校でさぁ」のような場面設定から入るはずなんです。それがないと「先生が」という登場人物が突然出てきて、聞き手はとても振り回されてしまいます。

今井 言われてみたらそうですね。友だちからいきなり「先生が私を怒ったんだ」と言われたら、なんだいきなりって思いますね。

遠藤 私がこういう説明で不満に思うのは、そういう「昨日」や「学校で」を重要なものとして扱っていないこと。むしろ、そこが日本語的な世界観では重要なところなのに……と思うんです。

今井 確かに。なぜ、それらを扱っていないんでしょうね。

遠藤 憶測ですが、それは英語的な世界観にもとづいて日本語を分析してきたからだと思います。どういうことかと言うと、元々英文法の世界のものであったS(主語)やV(動詞)、O(目的語)などを日本語に無理やり当てはめて理解しようとしているということです。

今井 なるほど。それで思い出したことがあります。むかし、ネイティブから「日本語には主語がないことがあるけれど、みんなどう理解しているの?」とよく聞かれたんです。これは主語が必ずある英語的な世界観を前提とした質問ですよね。

でも、僕は「日本語の主語」って言われてもピンとこない。だって、日本語では主語なんてあったりなかったりするものですから。そのときはネイティブにうまく説明できませんでしたが、そもそも違う世界観の文法を当てはめること自体に無理があるんですね。

遠藤 そうですね。もちろん言語の構造を比較するのは重要なことで、そこからたくさんのことがわかるとは思います。でも、英語がSVOから始まるからといって、それに合わせて「日本語の基本形はSOVだ」と言うのは、英語に合わせすぎだと思うのです。

それに、日本語ではSOVが出てくるにしても最後にくるもので、英語とは文の中で果たす役割が違います。文という全体で見たときには、同列に並べられるものではないのです。

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【Coffee Break】日本語的な発想は英語の自然な流れに逆行する

今井 日本人はyesterdayからはじめてしまいがちだという話ですが、これは本当にそうだと思います。自分も英会話で詰まってしまうことがあるんですが、たいていyesterdayみたいなものをもってきて、次の言葉が出てこなくなってしまっているんですよね。

遠藤 最初にyesterdayと言ってしまった瞬間に、日本語的な発想でそこから範囲を狭めようとしてしまいますからね。でも、英語にはyesterdayから言い始めて範囲を狭めていこうとしても、間をつなぐ単語がないのです。

今井 日本語で言えば「ハチ公前」→「渋谷」→「東京」という矢印の部分に当てはまる言葉が存在しないってことと同じですね。

遠藤 だから英語では最初の単語として何をもってくるかが非常に重要なわけです。中心となる単語をちゃんともってこないと、それ以降の英文がつくれないことになってしまいます。

今井 そうですね。僕も英会話でyesterday→schoolみたいな日本語的発想をしてしまうときがありますが、エスカレーターを逆向きに歩いているような感じになって、すごく前に進みにくいんですよね。

遠藤 それはやっぱり英語がもつ自然な流れに逆行しているからなんでしょうね。

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【Coffee Break】日本語と英語における「モノの見方」の違いが大事

今井 こういう日本語と英語の違いを真正面から取り扱っている本ってあまりないですよね。

遠藤 そうですね。SVなどの五文型から始まる英文法の参考書が良い例ですが、いきなり英語の世界にスタート地点をもってくるパターンが多いように思います。

今井 中学校で初めて英語を学んだとき、血が通っていない無機質な印象を受けたのを思い出しました。

遠藤 普段使っている日本語とまったく違うって感じてしまいますよね。

今井 同じ人間が使う言葉とは思えないみたいな(笑) そうそう、学校で習った英語ってリアリティーが感じられなかったんですよね。出てくる英文の日本語訳も全部「ですます」調ですし。僕はひねくれものなので、ネイティブがこんなきれいな連中ばかりのはずがないって感じていました。

遠藤 学校英語を習っているとネイティブが日常生活で話している言葉が全然想像できないですよね。でも、ネイティブだって私たちと同じように「どうでもいいこと」を話していますし、見ている世界だって同じ「ありふれた日常生活」なんです。それを見ていく、表現していく順序が私たちと違うだけなんです。

今井 同じモノを見ているって言われたら、なんだか急に親しみを覚えますね。まあ、僕は大学時代にネイティブとバカ話ばかりしてきたので、彼らが特殊だという感覚はありません。でも、考え方が日本人とは違うなぁと思ったことは何度もあります。それはもしかしたら、言語からくるモノの見方が違っていたのが原因だったのかもしれないですね。

遠藤 私はこの「モノの見方」の違いについてもっと英語教育で扱われるべきだと思っています。そういえば今井くんは言語習得の臨界期説というものを知っていますか?

今井 小学校高学年くらいまでに英語を習っておかないとネイティブ並の英語は身につかないという説でしたっけ?

遠藤 そうです。これも私は年齢で言語習得できなくなるのではなくて、そのくらいの年齢になったらモノの見方が固まってしまうからだと思っています。

今井 そうなのかもしれませんね。そうであればこそ、中学でこういった日本語と英語における「モノの見方」の違いを習うのは、自分自身のモノの見方や考え方を知ることにもつながって面白いかもしれませんね。

▶次のセクション §1-2 日本語に「私」が出てこない

【英語のイメージの描き方や英作文のコツを知りたい方へ】

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