第22章 There構文(There is/are ~)

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「~がある」といえば There is/are ~ だと思っていませんか? 実は There構文は「聞き手が知らないことを登場させる」「新しい話題として挙げる」ときに使うものなのです。どうしてそうなるのか、there の働きを確認しておきましょう。

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There is/are ~ の意味

例文:There is a big tree in the park.(その公園には大きな木があります)

There is ~ を「There構文」と呼び、「~がある」という意味になります。なお、「ある」という意味は be動詞 is によるものです。それでは there はどういう働きをしているのでしょうか?

There is a big tree というフレーズを流れで表現すると次のようになります。

There は「聞き手を遠いところにある話題に引きつける」働きをしています。そして、is で「あるんだよ」と何かが存在していることを表し、最後に a big tree で「1本の大きな木がね」となります。

いま「(聞き手から)遠いところにある話題」という表現を使いましたが、具体的には「聞き手が知らないこと」「聞き手にとって新しい話題」のことです。

つまり、There is ~ は「聞き手が知らないことを登場させる」「新しい話題として挙げる」ときに使われるわけです。

■ 後述の主語が複数形のときは There are を使う

例文:There are two big trees in the park.(その公園には2本の大きな木があります)

存在しているもの(ここでは「two big trees」)が複数形であれば、be動詞は are を用います。

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There is/are ~ の否定文

例文:There are not any trees in the park.(その公園には木が1本もありません)

There is/are ~ の否定文は、be動詞の後に not を入れてつくります。

There are の否定文は any と一緒によく用いられるので、any についても確認しておきましょう。

any は「どんな~も」という意味で、無制限であることを表します。これに not を加えた not + any は「1つも…ない」という意味で、no と同じ意味になります。

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There is/are ~ の疑問文

例文:Are there any restaurants near here?(この近くにレストランはありますか?)

There is/are ~ の疑問文は、be動詞を there の前に出してつくります。

There is/are ~ の肯定文・否定文では聞き手が知らないことを登場させていましたが、疑問文では話し手がその存在の有無を知らないことを尋ねることになります。

■ There is/are ~ の疑問文への答え方

疑問文:Are there any restaurants near here?(この近くにレストランはありますか?)
答え1:Yes, there are.(はい、あります)
答え2:No, there aren’t.(いいえ、ありません)

There is/are ~ の疑問文には、Yes や No の後に there を使って答えます。

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ことばの研究室

■ 文末の there と文頭の there の違い

今井 there って元々は「あそこに」という意味でしたよね。どうして、There is だと「聞き手を遠いところにある話題に引きつける」働きになってしまうのですか?

遠藤 there は捉えどころが難しい単語ですよね。次の例文で考えてみましょうか。

例文:She lives there.(彼女はあそこに住んでいます)
例文:There is a big tree in the park.(その公園には大きな木があります)

 文末の there は「あそこに」という意味ですが、正確に言えば「それまでに描いた状況を遠いところに移す」働きをしています。この there を文頭にもってきたとき、まだ何も状況描写が行われていないので、代わりに「聞き手を遠いところにある話題に引きつける」働きになるわけです。

今井 どうして急に「聞き手」が出てくるんですか?

遠藤 疑問文を思い出してください。主語の前にもってきた be動詞や Do が聞き手を引きつけて、それ以降の内容を尋ねていましたよね。文頭にもってきた There は、これと同じような働きをしているわけです。

今井 そういえば、英語では「状況描写」の前に「聞き手とのやりとり」が行われるんでしたね。この There は「聞き手とのやりとり」かぁ。

遠藤 そうなんです。聞き手とのやりとりなので、日本語訳にはあまり出てきません。それが there を捉えにくくしていたわけなのです。

■ 既に話題に挙がっているものに対しては There構文を使わない

今井 本文で There is は「新しい話題として挙げる」ときに使うとありましたが、例を挙げてもらってもいいですか?

遠藤 これは物語で登場人物を導入するときによく使われていますね。

例文:Once upon a time there was an old man.(昔々、おじいさんがいました)

今井 昔話でよくある表現ですね。なるほど、確かに新しい話題として挙げています。

遠藤 あと、There構文に関して言うと、日本人は何でも There is を使ってしまうことがあります。もちろん、大丈夫なときもありますが、違和感のある使い方をしているときもあるので、違和感のあるパターンの方も確認しておきましょう。

太郎:Where is my pencil?(俺の鉛筆はどこ?)
信一:(×) There is your pencil on that desk.
信一:(○) Your pencil is on that desk.(君の鉛筆はあの机の上にあるよ)

 この会話で There is your pencil on that desk. は違和感のある表現なのですが、どうしてなのかわかりますか?

今井 ふつうに「君の鉛筆はあの机の上にあるよ」と訳せそうですけど、どこがダメなんですか?

遠藤 これは訳すと「君の鉛筆あの机の上にあるよ」という感じになるのです。

今井 僕の訳との違いは「君の鉛筆は」が「君の鉛筆」になっているところですね。「俺の鉛筆どこ?」に対して「君の鉛筆があの机の上にあるよ」という返答は、確かにかみ合っていない気もしますが、そのあたりもう少し説明してもらえますか?

遠藤 前提として、この会話では「太郎の鉛筆」は既に話題に挙がっていますよね。一方で、There is は「新しい話題として挙げる」ときに使う表現です。

 そのため、ここで信一が There is your pencil on that desk. と言ってしまうと、既に太郎が話題にしているのに、その流れをぶった切って「君の鉛筆が机の上にあるよ」と新しい話題として挙げているような感じになってしまうのです。

今井 太郎からすると、「俺の話を聞いていなかったのかな……。でも、俺の鉛筆について場所を教えてくれているし……。なんかモヤる言い方だなぁ……」ってなりそうですね。

遠藤 そうですね。一度くらいなら「まあいいか」で済みますが、何度も繰り返してしまうと「ちゃんと話を受け取ってくれよ」となりかねません。そのため、既に話題にしているものに対しては、There構文を使わないように注意してくださいね。

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