前置詞 by の代表的な意味
英語 | 意味 | 例文・フレーズ |
---|---|---|
by | [受け身]~によって | by the cat(その猫によって) |
~のそばに | stand by the window(窓のそばに立つ) | |
~を通って | by the back door(裏口を通って) | |
[方法]~で | by bus(バスで) | |
[単位]~ごとに | by the dozen(1ダース単位で) | |
[期限]~までに | by 4:00(4時までに) |
※記事内では表に掲載のない意味・用法も解説しています。
前置詞 by は「~によって」という意味が有名ですが、stand by(~のそばに立つ)のように「~によって」では捉えられない用法もあります。この記事では by のコアイメージから、by の持つ意味・用法(「場所」「手段・方法」「受け身」「時間」など)について解説します。
by のコアイメージ
by のコアイメージは「~に寄って」です。
by は、ある状況に至った経緯を表します。つまり、何かに「近寄って・接した」結果、ある状況になった、という一連の流れを表しているわけです。
また A by B で、A が B に接したときに「A は B の影響を受ける」というニュアンスも含んでいます。
by の主な用法は「すぐそばに(近接)」「~で(方法)」「~によって(動作主)」です。
by の用法
場所に関する用法
近接
例文:He stood by the window.(彼は窓のそばに立っていました)
by the window は「その窓のすぐそばに」という意味。by は近接を表しています。
通過
例文:The bus was going by the post office as I came out.(私が出てきたとき、そのバスは郵便局を通り過ぎていったところでした)
by the post office は「その郵便局を通り過ぎて」という意味。by は通過を表しています。
経由
例文:He came in by the back door.(彼は裏口から入ってきました)
by the back door は「裏口を通って」という意味。by は経由を表しています。
手段・方法に関する用法
手段・方法
例文:He earns his living by selling insurance.(彼は保険を売ることで生活費を稼いでいます)
by selling insurance は「保険を売ることで」という意味。by は方法を表しています。
この例文は He earns his living と状況を先に述べて、次にそこに至る経緯として by selling insurance と述べています。by はこのように「結果を先に述べて、経緯を by で表現する」順番になることが多いのでご注意ください。
例文:He goes to work by bus.(彼はバスで仕事に行きます)
by bus は「バスで」という意味。by は輸送方法を表しています。
「バスで」が by the bus とならない理由については以下の記事をご参照ください。
差分に関する用法
コアイメージのところで触れましたが、by には「影響を受ける」ニュアンスがありましたね。
この「差分」の用法では、その影響を受ける前(before)と受けた後(after)の差が by で表されます。
差異
例文:I was overcharged by 1,000 yen.(私は1,000円余分に請求された)
overcharge は「余分に請求する」で、overcharged by 1,000 yen は「1,000円余分に請求される」という意味。by は差異を表しています。
参考:I was undercharged by 1,000 yen.(私は1,000円少なく請求された)
by 1,000 yen はあくまで差異の金額であり、多いのか少ないのかは文脈によって変わります。
単位ごとに
例文:Eggs are sold by the dozen.(卵は1ダース単位で売られています)
by the dozen は「1ダース単位で」という意味。by は単位ごとに売られていることを表しています。
the dozen は「12個を1まとまりにしたもの」です。この例文は、「販売単位が定まっていなかった卵(before)」が、by the dozen の影響を受けて「卵12個ごとに1パックにまとめられる(after)」ようなイメージで捉えるとよいでしょう。
※同じような意味に in dozens(ダースごとに)がありますが、in dozens はイギリスで主に使われ、by the dozen はアメリカで主に使われているそうです。(参考:‘In Dozens’ And ‘By The Dozen’?)
受け身に関する用法
動作主
例文:The mouse was chased by the cat.(そのネズミはその猫に追いかけられた)
by the cat は「その猫によって」という意味。by は受動態で動作主を表すときに用いられます。
※受動態についての詳細は「受動態の文型ごとの例文解説と受動態の作り方」をご参照下さい。
例文:a painting by Monet(モネの絵)
by Monet は「モネによって(描かれた)」という意味。作品の後に続く by は作者を表します。
参考:a play by Shakespeare(シェークスピアによる劇)
乗法・除法
例文:3 multiplied by 4 is 12.(3×4=12)
3 multiplied by 4 は「4を掛けられた3」という意味。by は乗法や除法を表すときにも使われます。
なお、例文は 3 times 4 is 12. と同じです。口語では times のほうがよく使われます。
寸法
例文:The room is 15 meters by 24 meters.(その部屋は15メートル✕24メートルです)
15 meters by 24 meters は「15m ✕ 24m」という意味で、縦 ✕ 横の寸法を表しています。
時間に関する用法
期限
例文:I’ll be back by 4:00.(私は4時までに戻ってきます)
by 4:00 は「4時までに」という意味。by は期限を表しています。
期限を表す by は “on or before”(ちょうどまたはそれまでに)と英英辞典では説明されており、ぴったりの時間も含みます。
by の用法まとめ
by のコアイメージは「~に寄って」です。
by の主な用法は「すぐそばに(近接)」「~で(方法)」「~によって(動作主)」です。
カテゴリ | 用法 | フレーズ | 意味 | 備考 |
---|---|---|---|---|
場所 | 近接 | by the window | その窓のすぐそばに | |
通過 | going by the post office | その郵便局を通り過ぎていったところ | ||
経由 | by the back door | 裏口を通って | ||
手段・方法 | 手段・方法 | by selling insurance | 保険を売ることで | |
輸送方法 | by bus | バスで | ||
差分 | 差異 | overcharged by 1,000 yen | 1,000円余分に請求される | by 1,000 yen は差異の金額 |
単位ごとに | by the dozen | 1ダース単位で | 12個ごとに1パックにまとめられる | |
受け身 | 動作主 | by the cat | その猫によって | |
乗法・除法 | 3 multiplied by 4 | 3×4 | 口語では times がよく使われる | |
寸法 | 15 meters by 24 meters | 15m ✕ 24m | ||
時間 | 期限 | by 4:00 | 4時までに | ちょうどまたはそれまでに |
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コメント
こんなにもbyの使い方があったのだなと1つずつ確認して改めて感じました。中でも、後に無冠詞が来る場合と冠詞がつく場合についてしっかりと確認できました。ついつい適当になりがちなので、とても説明がわかりやすかったです。
説明にもあったように、私も普段掛け算の表現はTIMESを使う事しかしていなかったので、multiplied by という言い回しも今後活用してみます。
とてもわかりやすかったです。乗法・除法のような数学的な場面でもbyを使うというのは、初めて知りました。そして、差異の使い方が今までは納得できていなかったのですが、この記事の説明で理解できたような気がします。
全ての前置詞に言えることですが、難しいというか、いつも混乱してしまいます。しかし、こちらの記事ではby用法がイメージで解説してあるので、眺めるだけで「なるほど!」と思いました。また、それぞれの用法ごとに詳しい説明と例文があるため大変参考になりました。
前置詞 by の手段・方法に関する用法の中で、by bus の by は「一般的な輸送方法の時は、by の後には名詞をそのままもってきます。つまり、冠詞の a や the などをつけません。」との記述があり、この際の bus というのは「バスの働きというコンセプトを表しているわけです。」とのことでしたが、by が単位を示すケースの場合は the をつけることに注意という説明があり、このあたりが少し理解するのに難しいと感じました。ですので、もう少し突っ込んだ説明があると、よりわかりやすいかなと思いました。
byと言う前置詞はよく見ますが、こんなにもたくさんの意味で使われているのかとちょっと驚きました。経由や単位の意味など、私の知らなかったところでも使われることがわかって勉強になりました。最後の表にまとまっているので、これを見れば頭が整理される気がします。
まず、コアイメージの「~に寄って」という漢字を使うということで、byのイメージがとても分かりやすくなったと感じました。また、byのそれぞれの用法をひとつずつ分かりやすく覚えることができるようになっていて良かったです。しかし、それでもたくさんの用法があり、覚えるのが大変だとも感じました。
byの用法については分かっていたつもりだが、改めてそれぞれの用法を見てみるとその多さに驚いた。特に、「差異」や「単位」の使い方は参考になった。それぞれの用法が簡単な例文と共に、非常にわかりやすく書かれていたのが良かった。byを使わない前置詞を混ぜた練習問題も出してみると面白いかもしれない。
by というのは日本の和製英語的表現でも非常によく使うものですが、コアイメージとなると意外と分かりにくいものですね。
前置詞 by が、ある状況に至った経緯そのものを指すというのは、解説されないと分からないものです。
byの内容に関して、一見長い記事かなと思って読むのを躊躇しましたが、実際読んでみると、それぞれの用法ごとにイメージを使っての解説があり、凄く分かり易くまとめられていて、今まで読んだ参考書の中で一番良かったです。大変勉強になりました。
by にはいろいろな用法があるようですが、何となく意味はつかめます。ただ、乗法・除法については、言い方自体がわからなかったのでとても勉強になりました。この機会に算数で使う英語について復習しようと思います。
分かりやすいです
感謝です