日本語では同じ「~させる」という訳になる使役構文ですが、状況によって使うべき動詞は異なります。ここでは「彼にパソコンの確認をさせた」という例文を元にmake、have、get、letのニュアンスの違いを解説します。
make+人+動詞の原形
例文:I made him check my computer.((強制的に)彼にパソコンの確認をさせた)
makeを使った使役構文は「強制的に人に何かをさせる」という意味合いが最も強い表現です。(強制のニュアンスはmakeのコアイメージに含まれる「対象物をこねる」イメージに由来しています)
この表現は、主語が目的語(人)の意思にかかわらず、何かを行わせる状況で使われます。上下関係や力関係が背景にある場合が多いです。
例文:The heavy rain made us cancel our outdoor plans.(大雨のせいで、私たちはアウトドア計画を中止せざるを得なかった)
このmakeは状況が人の行動を引き起こすときの使用例です。「大雨のせいで中止する羽目になった」というニュアンスです。
(上司は部下に残業させた)
My parents made me practice the piano every day when I was a child.
(子どもの頃、両親は私に毎日ピアノの練習をさせた)
have+人+動詞の原形
例文:I had him check my computer.((当然やるべきこととして)彼にパソコンの確認をしてもらった)
haveを使った使役構文は「当然のこととして人に何かをさせる(してもらう)」という意味合いで使われます。
makeほどの強制力はなく、目的語(人)がその行為をするのが当然である、または仕事やサービスとして依頼する状況に適しています。
例文:I had him cut my hair.(彼に髪を切ってもらった)
このhaveはお金に対する対価として何かをやってもらうときの使用例です。
これはhaveのコアイメージが「主語の支配する範囲内に存在する」であることに由来しています。依頼する側が少し力をもっている感じがしますね。
(私はアシスタントに書類をコピーしてもらった)
The director had the actors rehearse the scene again.
(監督は俳優たちにもう一度そのシーンのリハーサルをさせた)
get+人+to不定詞
例文:I got him to check my computer.((説得などの結果)彼にパソコンの確認をしてもらった)
getを使った使役構文は「説得などをして、人に何かをさせる(してもらう)」という意味合いで使われます。基本的にはhaveと同じニュアンスであり、仕事やサービスとして依頼する状況に適しています。
ただし、getには説得したり、働きかけたりといった少し手間をかけた結果、相手に行動してもらうというニュアンスが含まれます。これはgetのコアイメージに含まれている「過程」が反映されたものです。
またgetはhaveに比べて動きを含んでいる分だけ、話し言葉で使われやすいのが特徴です。あと、動詞の原形ではなくto不定詞を使う点にも注意してください。
(私は友人に頼んで引っ越しを手伝ってもらった)
She got her children to eat their vegetables.
(彼女はなんとかして子どもたちに野菜を食べさせた)
let+人+動詞の原形
例文:I let him check my computer.((確認したがっている)彼にパソコンの確認をさせてあげた)
letを使った使役構文は「許可して、人に何かをさせてあげる」という意味合いで使われます。相手がしたいと思っていることを許可したり、容認したりする状況で使われます。
この例文の場合は、彼は何らかの理由で私のパソコンの確認をしたがっています。そこへ私が許可を出して、彼に確認させてあげるイメージになります。
(母は私が友だちと遊びに行くのを許してくれた)
He let me drive his new car.
(彼は私に彼の新しい車を運転させてくれた)
まとめ
使役構文 | 使役構文の意味 | ニュアンスの違い |
---|---|---|
make+人+動詞の原形 | 強制的に人に何かをさせる | 命令・強制 |
have+人+動詞の原形 | 当然のこととして人に何かをさせる(してもらう) | 当然・対価 |
get+人+to不定詞 | 説得などをして、人に何かをさせる(してもらう) | 働きかけ・過程 |
let+人+動詞の原形 | 許可して、人に何かをさせてあげる | 許可・容認 |
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コメント
外国人が普通に話す使役構文は、日本人には難しく感じます。その理由として、どの単語を使っても「~させる」で訳され、本来のコアなイメージが頭に浮かばないからだと思います。この記事でmakeとletは理解できましたが、haveとgetはぼんやりした感じでした。しかし、例文とその説明は大変参考になりました。
それぞれの使役動詞が持つニュアンスの違いが理解できました。個人的には、「get」には結果に至るまでの過程が含まれている、また、動きを含んでいるため「have」に比べて話し言葉で使われやすいという部分が興味深く、勉強になりました。ほかの文章でも「get」の持つこういった意味合いを意識的に捉えるようにしたいと思いました。
make, have, getの使役表現の違いは分かりやすかったが、letの例文の訳で、((確認したがっている)彼にパソコンの確認をさせてあげた)とあったが、「許可」という部分を入れたほうが、letのニュアンスがより出て分かりやすいのではないかと思った。
「使役構文におけるmake, have, get, letの違い」は頭が混乱する部分ですよね。とてもわかりやすく説明されていると思いました。コアイメージのイラストは、いいですね。さらに、状況設定があったので、よりわかりやすかったように思います。
使役動詞4つを同時に比較できたので、それぞれの違いがクリアになりました。特にgetやhaveのコアーメージはよく知らなかったので勉強になりました。なるほど、こういうイメージでネイティブは使い分けているんですね~。
始めは理解できない難しい内容だと思っていましたが、記事を読むと、イメージすることができたため、理解ができるようになりました。なるほどと納得できる分かり易い記事だと思います。
本題とは別の、右側にある「最新の記事」がちょっと大きく目立つので目障りのような気もします。それに、文字が重なっていて、とても見づらいので改善してほしいと感じました。
make, have, get, letはいままでははっきりと理解できていなかったのですが、今回のコアイメージを見ることで、ある程度理解できるようになりました。
初めて拝見させていただいたのですが、とても分かりやすいです!
一つの疑問で、”Let me know” という口語でよく使うと思うのですがなぜそのようになるのですか?
ご質問の “Let me know.” ですが、こちらは「教えてください」という意味でよく使われる表現ですね。命令文なので (You) let me know. と you が省略されているわけですが、「知りたがっている私に対して、あなたが許可を出して知らせてあげてください」という感じになります。つまり、裁量権をもっているあなたに対して「許可」を求めているニュアンスであり、間接的に「教えてください」とお願いしているわけですね。
比較:Could you tell me the way to the station?(その駅までの道を教えて頂けますか?)
tell me も「教えてください」とお願いする表現ですが、こちらは直接的に「教えて」とお願いしています。そのままだとストレート過ぎるので、Could you のような過去形を使って遠回しにするのが一般的です。
ただ、それでも、(you) tell me と (you) let me know を比較すると、教える行為をリクエストしている tell me のほうがストレートな表現ということになります。
使役構文、改めて良くわかりました。しばしば先生のサイトで勉強させていただいております。が、しみじみ良く練られた解説をして下さっていることに感動しました。イラストもわかりやすくって愛嬌があってとってもいいです。ありがとうございました。
コメントならびにお褒めの言葉ありがとうございます!引き続きお役に立てるように頑張ります。