助動詞 shall の代表的な意味
英語 | 主な意味 | 例文・フレーズ |
---|---|---|
shall | ~とすること | All payments shall be made in cash.(すべての支払いは現金で為されることとする) |
必ずや~になる | I shall return.(必ずや戻ってくるぞ) | |
[疑問文で]~しましょうか? | Shall we dance?(踊りましょうか?/踊りませんか?) |
※記事内では表に掲載のない意味・用法も解説しています。
仕事で海外の会社との契約書の書き方を調べているのですが、shallがたくさん出てきて、どう理解すればよいのかわからず困っています。shallとはいったい何者なのですか?
shallといえば Shall we ~?(~しませんか?)が有名ですが、契約書などにも出てくるので、いまいち何者なのかわかりにくいですよね。この記事では shall のコアイメージを元に、shall の意味・用法(「予言・決意」「法律・命令」「申し出・提案」)を解説します。
shallのコアイメージ
shallのコアイメージは話し手の中での「疑いなく導かれる先にあるもの」です。
shallは「神の意志がつくり出す、ただ1つの進むべき道」のように、人の意志を超えたところでの話をするときによく使われます。
shallの主な用法は「予言・決意」「法律・命令」「申し出・提案」です。
shallの用法
予言・決意
例文:We shall all die.(私たちはみな死ぬことになるのだ)
「自然の摂理として、私たちはみな死ぬことになるのだ」という意味で、shallは予言や運命を表しています。
人の意志を超えたものとして「自然の摂理」を想定しており、それは避けられないことだというニュアンスを含んでいます。
例文:I shall return.(必ずや戻ってくるぞ)
「人の意志を超えたものによって、私は戻ってくることになる」という意味です。
「私は戻ってくることになる運命であり、そうなるためにやれることは何でもやる」という流れで話し手の強い決意を表しています。
運命という強い流れに自分の意志を乗せているようなイメージで捉えるとよいでしょう。
法律・命令
例文:You shall love your neighbor as yourself.(隣人を汝のごとく愛しなさい)
「神の意志によって、隣人を自分のように愛すること」という意味で、聖書に出てくる文言です。
人の意志を超えたものとして「神」はとても想定しやすいものです。そのため聖書にshallはよく出てきます。
隣人を自分のように愛することは神の意志であり、疑問を差し挟む余地はないというニュアンスを含んでいます。
例文:All payments shall be made in cash.(すべての支払いは現金で為されることとする)
「契約条項によって、すべての支払は現金で為されることとする」という意味です。
当事者間の意志を超えたものとして「契約条項」や「法律」なども挙げられます。契約書や条文などにもshallはよく出てきます。
現金で支払を行うことは疑問の余地なく遂行されなければいけないというニュアンスを含んでいます。
申し出・提案
Shall we …?
例文:Shall we dance?(踊りましょうか?/踊りませんか?)
この例文は「踊りませんか?」の意味だと思われがちですが、実は「それでは踊りましょうか?」のニュアンスのほうが強い表現です。
その理由は、Shall we …? が「相手もそうするつもりがあることがわかっている上での申し出」として使われることが多いからです。
少し意味がわかりにくいと思いますので、具体的なストーリーで確認してみましょう。
パターン1「それでは踊りましょうか?」
N | 舞踏会に参加する予定の夫婦。夫は既に準備を終え、玄関で待っています。一方、妻は手袋をはめたり、香水をつけたり、鏡で髪型をチェックしたりして、なかなか出てきません。しばらくしてようやく玄関に妻が姿を表しました。 |
夫 | それでは行こうか?(Shall we go?) |
N | 二人は舞踏会に到着しました。しばらく歓談の時間を過ごしていましたが、音楽が流れてきました。指揮者がダンスを踊るカップルたちをダンスフロアに誘導しています。 |
夫 | それでは踊りますか?(Shall we dance?) |
このように Shall we …? は Are you ready?(準備は良い?)の代わりに使われることがよくあります。
パターン2「一緒に踊りませんか?」
N | ここは舞踏会の会場。いま一緒に踊るパートナーがいない女性に、男性が話しかけました。 |
男性 | 一緒に踊りませんか?(Shall we dance?) |
Shall we …? には「~しませんか?」という提案の意味もあります。
しかし、その提案もこのストーリーのように「相手も舞踏会に来ている以上、踊るつもりがあるのであろう」と推測できる場合に使われるのが一般的です。
それでは、相手にそうするつもりがあるのかわかっていないときに提案したい場合はどうすればいいでしょうか。次の例文で確認しましょう。
Why don’t we …?
比較:Why don’t we dance?(踊るのはどう?/踊りませんか?)
「どうして私たちは踊らないのか?(踊らない理由はある?)」から「踊りませんか?」というお誘いの意味になります。
ただし、正確に言えば Why don’t we …? は「~するのはどう?」に近いニュアンスであり、それ以外の選択肢と比較した上で、それが一番良さそうだから提案している感じになります。
たとえば、クラブに一緒に来たカップルがいたとして、飲食やおしゃべりをするよりも踊るのが一番楽しそうだと思ったので “Why don’t we dance?” とパートナーに提案しているような状況が考えられます。
まとめると次のようになります。
- Shall we dance?:踊る以外の選択肢が考えられない場面で「踊ること」を提案
- Why don’t we dance?:踊る以外の選択肢もある中で一番良い選択肢として「踊ること」を提案
shall に「ただ1つの」というイメージがあることが、ここからもわかりますね。
Shall I …?
例文:Shall I make some tea?(お茶を淹れましょうか?)
「ごく自然な流れによって、私はお茶を淹れることになりますか?」という意味です。
相手に「私がやるべきこと」を問いかけていますが、もちろん相手のためにお茶を淹れるわけですから、相手への提案として解釈されます。
なお、shallという単語自体の古風なイメージもあり、Shall I …? は丁寧でフォーマルな表現として受け取られます。
Would you like me to …?
比較:Would you like me to make some tea?(お茶を淹れましょうか?)
「あなたは私にお茶を淹れてほしかったりしますか?」で「お茶を淹れましょうか?」という提案を表します。
Shall I …? は丁寧ですが、少しフォーマルすぎるので、日常会話では Would you like me to …? のほうがよく使われます。
まとめ:shallの用法
shallのコアイメージは話し手の中での「疑いなく導かれる先にあるもの」です。
shallの主な用法は「予言・決意」「法律・命令」「申し出・提案」です。
shallの用法 | 意味 | 備考 |
---|---|---|
予言・決意 | 必ずや~になる | 人の意志を超えたものによって疑いなくこうなる |
法律・命令 | ~とすること | 神や法律、契約条項などによって疑いなくこうする |
申し出・提案 | Shall we …? ~しましょうか? |
相手もそうするつもりがあることがわかっている上での申し出 Are you ready? の代わりに使われることもよくある |
〃 | Shall I …? ~しましょうか? |
相手に「私がやるべきこと」を問いかける 丁寧でフォーマルな表現 |
【shall関連記事】
- 助動詞 should の意味・用法まとめ(should は shall の過去形に当たります)
コメント
shallはわかりづらい言葉だったのですが非常に理解しやすかったです。契約や取扱い説明等のビジネス文書で多用されているのは、疑問の余地ないというニュアンスが含まれるからというのが、改めて勉強になりました。口語ではShall we go?位しか使ったことがありませんでしたが、Why don’t ~と場面場面で使いわけしてみたいです。
「神の御心に沿った通り、または摂理の通りに必ずこうなるだろう」という考え方というのは日本人には根本的に理解が難しい物だけに、今回の記事は目からうろこと言えます。厳格な確かさを持つフォーマルな物言いというのも納得いきました。
同感です
Shallにこんなに色々な意味があるなんて知りませんでしたので、大変良い勉強になりました。最初からインパクトがある例文と絵により、忘れられない英単語となりそうです。とても分かり易く、面白い記事で、大変良いと感じました。
Shall we ~?という使い方でShallはよく使っていましたが、実は厳密な意味があるのですね。Shallの意味には、神に与えられた人間にはどうしようもないという意味があるというので、Shallは実は神聖な単語なんだなと思いました。
shallの〜しましょうか?については最初、人の意志を超えたところという解釈に疑問に感じるところがありました。しかし、あとの具体的なストーリーを出す説明の仕方がすごく分かりやすかったので、納得することができました。
Shall we ~?は、~しませんかという意味であることは知っていましたが、相手がそうするつもりがあると思った上での申し出である、ということは知らなかったので参考になりました。
シーンによっては図々しい表現になってしまいそうなので、Why don’t we ~?と使い分けをしっかりしないといけないと思いました。
shallの「神の意志がつくり出す、ただ1つの進むべき道」という表現はとてもわかりやすかったです。
「Shall we …?」の「相手もそうするつもりがあることがわかっている上での申し出」というものは初耳で、とても役立ちました。
私もこれまで”shall”の用法をしっかり理解していなかったため、自分からはあまり使用してきませんでした。しかし、コアイメージを理解し、用法を覚え、例文を何度も読んでみると一気に理解度が高まりました。言い換えができるコトも参考になりました。大変勉強になりました。
shall のコアイメージ「すべては神の御心のままに」というフレーズはわかりやすく、覚えやすいものでした。shall we ~ は are yo ready? の代わりに使われるという事も直球で頭に入り、勉強になりました。
Shallの用法について詳しく学ぶ機会があまりなかったので、楽しく読むことができました。図も適量に盛り込まれており、分かりやすかったです。また少し英語が好きになりました。英語が得意な人にもそうでない人にもオススメの記事ですね。
一般的に知られているShall we ~?の具体的な使い方がストーリーを交えて記してある事で、とても分かりやすかったです。また、予言や法律にも使うことが出来ると知れてよかったです。
それから、全体的に色使いがとても見やすくてよかったです。