学校の置き換え問題で良く出てくる can と be able to ですが、これらにニュアンスの違いはあるのでしょうか?
概要:canとbe able toの違い
結論から述べると、実用上 can と be able to の違いは基本的にありません。日本語で言えば「泳げる」と「泳ぐことができる」との違いのようなものです。
結論だけを知りたい方はこれだけで十分だと思いますが、ここから先はcanとbe able toのもっているイメージについて解説します。
また一つだけ過去形にした could と was/were able to で置き換えができないパターンがあります。これについても解説します。
can のコアイメージ
まずコアイメージから確認していきましょう。canのコアイメージは話し手が思う「根拠に基づいた可能性」です。
canの主な用法は「能力」「許可」「依頼」です。
※助動詞 can の持つイメージ・意味についての詳細は「助動詞 can のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
be able to のコアイメージ
ableのコアイメージは「必要なものを十分満たしている」です。
ableの「あるラインを越えており、十分実現可能である」というイメージから「有能な」「資格がある」という意味も派生しています。
be able to doのコアイメージは「~することができる」です。
可能性ではなく、何かをするために必要なもの(能力や条件など)が十分揃っているイメージになります。
canとbe able toの例文解説
現在形の場合
例文:He can swim.(彼は泳げます)
「彼は泳ぐ可能性をもっている」という意味です。
このセリフを聞いた人は「彼は水泳のレッスンなどを受けたことがあって(根拠)、泳ぎ方を知っているのだろう」と解釈します。
彼は上手に泳げるかもしれませんし、溺れないで済む程度に泳ぎ方を知っているだけかもしれません。
例文:He is able to swim.(彼は泳ぐことができます)
「泳ぐこと」を飛び越えてクリアするイメージで、「彼は泳ぐことができる」という意味です。
泳ぐために必要な能力が十分揃っているというニュアンスになります。
ただし、どの程度上手く泳げるのかはわかりません。泳げるレベル感については can と同じく未知数です。
現在形:canとbe able toの守備範囲
コアイメージで述べたようにcanは「それ自身がもつ根拠(実績や要素など)に基づいた可能性」を表しています。
この根拠があるため、canの「能力」は実際にできることにしか使わず、結果として be able to と同じ守備範囲になるわけです。
ただし、can と be able to を比較したとき、口語では can が圧倒的に使われやすいという特徴があります。
これには、can のほうが be able to よりも音が短く言いやすいからという理由と、can のほうが能力に近接する意味(可能性など)も表現できて便利だからという2つの理由があると考えられます。
一方で be able to は can と比べるとフォーマルなイメージがあります。
can は「根拠に基づいた可能性」とは言え、やはり可能性である以上、不確実なニュアンスを伴います。
それに対して be able to は「必要なものが十分揃っている」という状態を表すので、can よりもきっちりした表現になっているわけです。
過去形で「当時の出来事」を表す場合
さて、can と be able to は置き換え可能であることを述べましたが、唯一置き換えができないパターンがあります。ここではそのパターンを確認していきしょう。
例文:I was able to swim back to the beach.(そのビーチまで泳いで戻ることができた)
過去に「ビーチに泳いで戻ること」を飛び越えてクリアしたというイメージで、「ビーチまで泳いで戻ることができた」という意味です。
ビーチに泳いで戻るために必要な能力や状況が十分揃っていたというニュアンスになります。
例文:I could swim back to the beach.(あのビーチまで泳いで戻れたらなぁ)
「あのビーチに泳いで戻る可能性があれば…」という意味です。
この例文はビーチに泳いで戻ったことを表しているわけではなく、あくまで登場人物の私がこれから先のことを思索していることを表現しています。
例文に登場する私はビーチまで泳いで戻るだけの能力を持っているかもしれませんし、ただ単に泳いで戻ることを空想しているだけかもしれません。
文脈によって変わるので、例文だけでは何とも言えないのです。
以上の2つの例文から、当時の出来事として「泳いで戻れたこと」を言いたいのであれば、could ではなく was able to を使うべきだと言えます。
過去形で「当時の能力」を表す場合
さきほどは過去形で置き換えできないパターンを確認しました。ただし過去形はすべて置き換えができないというわけではありません。ここでは過去形でも置き換えができるパターンを確認しておきましょう。
例文:I could swim when I was a kid.(子どもの頃は泳げました)
「私は子どもの頃、泳ぐ可能性をもっていた」という意味です。
水泳のレッスンなどを受けて(根拠)、泳ぎ方を知っていたというわけです。
例文:I was able to swim when I was a kid.(子どもの頃は泳ぐことができました)
子どもの頃は「泳ぐこと」を飛び越えてクリアしていたというイメージで、「私は子どもの頃、泳ぐことができていた」という意味になります。
泳ぐために必要な能力が十分揃っていたというニュアンスです。
過去形:couldとwas/were able toの守備範囲
日本語の「~できた」は次の2パターンを表しています。
- 当時の能力 (例:子どもの頃、泳ぐことができた)
- 当時の出来事(一度きり)(例:ビーチに泳いで戻ることができた)
当時の能力に関しては、could でも was/were able to でも使うことができます。
一方で当時の出来事に関しては、was/were able to で表現します。一度きりの出来事に対して could を使ってしまうと「~できたらなぁ」と仮定法の意味で受け取られてしまうからです。
過去形においては could と was/were able to で意味が異なる場合があることに注意してください。
まとめ:canとbe able toの違い
実用上 can と be able to の違いは基本的にありません。口語では can が使われやすいので、私たちも can を使っていれば大丈夫です。
ただし、過去形で「当時の出来事(一度きり)」を表したいときは was/were able to を使う必要があります。これは could だと「~できたらなぁ」という意味で受け取られてしまうからです。
コメント
can と be able to には大きな違いがないのですね。となると、can が口語では圧倒的に使用頻度が高いというのも頷けます。また、過去形で「当時は出来た」の表現の場合は be able to を使う必要があるということ。勉強になります。
canとbe able toの違いについての説明は、やや分かりにくい部分もありましたが、興味深い点もあり、勉強になりました。特にcanの過去形のcouldだと「~できたらなぁ」という意味で受け取られてしまう場合があることは知らなかったので非常に勉強になりました。
冒頭にも書いてあったように”can”と”be able to”の違いは基本的にはないと思っていましたし、学校でもそのように習ったと思います。しかし、過去形ではそうではないこともあるということを初めて知りました。また、口頭では”can”の方が使われやすいという点は参考になりました。
canとbe able toの違いはほとんどないが、それぞれはもっているイメージから見ると、違いがあることがわかった。また、過去形の場合にcould とwas able toで置き換えができないパターンとできるパターンはとても参考になった。
canとbe able toの使い方に基本的には違いはない、という結論をまず出してから、can のコアイメージとbe able to のそれの違いから、何かができるといっても程度問題の視点から言うと、ちょっと微妙なニュアンスの差がある。そのため、会話の受け手の感じ方にも当然相違が出てくることが理解できる解説だと思います。
canとbe able toの意味を再確認できてよかったです。文中にも述べられているように、ついつい全てをcanで済ましてしまう事が多いです。とっさに I could do it.(出来たという意味で)なんて言ってしまう事もあるので、今後は過去表現をする際、be able toにしなければならないのか気を付けるようにしたいです。
canで全てをカバーできるような記載があるので、 be able toについての解説があまり重要視できずに流し読みしてしまった感覚になりましたが、最後の過去形ではcouldが使えない場合があるという部分でハッとして、 be able toの重要度についての理解が増しました。
canとbe able toの違いをコアなイメージに結び付けて簡潔に説明されていて、それぞれの用法を整理することができました。
個人的にもbe able toには少し固いフォーマルな印象を持っていたので、場面によって使い分けることができたら良いと思います。
canとbe able toはコアイメージこそ違うものの、用法上は殆どの場合区別を付けなくていいという結論に最初から入ってくれているので楽に理解できました。
過去形で当時実際にやった出来事の場合のみwas able toというのだけ覚えておけばOKと判断しました。
canとbe able toの違いは基本的にはないということなのですね。「ほぼ同じ」ということだけ記憶してしまうと、過去形のときの注意点を忘れてしまいそうですが、そこをきちんと解説してくださっていたので記憶に残ったと思います。