学校で、may well は「十分に~かもしれない」だから「~するのもわかる」という意味になる、と説明されました。でも、イマイチこの説明に納得できていません。どう考えればよいのでしょうか?
なぜ may well の意味が「~するのもわかる」になるのか不思議ですよね。この記事では may と well のコアイメージを元に、may well のイメージ・意味について解説しました。may well と might well の違いも取り上げています。
mayのコアイメージ
mayのコアイメージは「上から下への許容」です。
mayの主な用法は「許可」「推量」「祈願」です。
may wellの意味は「推量」用法を活用したものになります。
※助動詞 may の持つイメージ・意味についての詳細は「助動詞 may のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
wellのコアイメージ
wellのコアイメージは「程度を満足のいくレベルまで上げる」です。wellは動きや行為のレベル感に関する表現であることに注意してください。
満足のいくレベルの行為とは「(本人的に)うまくできた」ということでもあり、「十分にやりきれた」ということでもあります。
ここから「うまく~する」「十分に~する」という意味が発生します。
ただし、これらの意味はあくまで日本語訳するならば当てはまりやすい言葉というだけです。できる限り「程度を満足のいくレベルまで上げる」というイメージで捉えて頂ければと思います。
wellの用法(副詞)
例文:They played very well today.(今日、彼らはとても上手にプレイした)
play(プレイする)にwellを追加することで、play well(うまくプレイする)となります。プレイレベルを満足のいくレベルまで上げているわけです。
wellは動詞playのレベル感に関する表現になっていることがわかりますね。
参考:Did you sleep well?(よく眠れましたか?)
sleep(眠る)にwellを追加することで、sleep well(よく眠る)となります。眠るレベルを満足のいくレベルまで上げているわけです。
※ well のように動詞などの意味を修正・更新(modify)するものを「副詞」と呼びます。副詞についての詳細は「副詞って何?副詞の見分け方・用法・位置まとめ」をご参照下さい。
may wellの意味
may wellのイメージ
フレーズ:may well(~するのもわかる)
may(ある出来事が想定される)にwellを追加することで、may well(ある出来事が十分、想定される)となります。
推量レベルを納得のいくレベルまで上げており、意味としては「~するのもわかる(無理はない)」となります。
日本語訳はmay(~かもしれない)とmay well(~するのもわかる)で随分変わってしまったように感じるかもしれませんが、英語では推量のレベル感が上がっただけで、連続的な変化であることに注意してください。
※日本語側も「~かもしれない」ではなく「~が想定される」とすれば連続的な変化になります。つまり、「~かもしれない」が表せる範囲が狭く、wellを加えたときにその守備範囲を越えてしまうことが原因だったのです。
may wellの例文
例文:“What’s all the noise?” – “You may well ask.”(「一体全体、あの騒音は何なんだい?」「あなたが尋ねるのもわかるよ」)
「あなたが尋ねるのは十分想定されることだ」ということから「あなたが尋ねるのもわかる」となります。
すごい騒音が話し手にも聞こえているような状況で発せられるセリフです。
might wellの意味
mightの意味・イメージ
mightはmayの過去形です。
過去形はいつも過去を表すわけではありません。特にmight wellのようなフレーズでは現在の推量を表すのが普通です。
推量を表すmightのイメージは「一応、想定される」です。mayの表す「想定される」を距離をとって遠ざけたイメージであり、意味は「もしかしたらそうかもしれない」となります。
might wellの例文
例文:“What do they hope to achieve?” – “You might well ask.”(「彼らは何を達成したいと願ってるんだ?」「あなたが尋ねるのもわからなくはないよ」)
「あなたが尋ねるのは一応、十分想定されることだ」ことから「あなたが尋ねるのもわからなくはない」となります。
話し手としてはそこまでではないけれど、彼らの意図や行動にわかりにくいところがあるのは確かだと思っているような状況で発せられるセリフです。
このようにmight wellが表す推量には「一部肯定、一部留保」というニュアンスが加わります。
現在形の枠を残したまま過去形が表す範囲まで縮小させることで、スキマが生まれます。そのスキマに含みをもたせているわけです。(これを文法用語で「仮定法」と呼びます。)
※「一部肯定、一部留保」というニュアンスを、日本語では「二重否定(~しなくはない)」で表現することがよくあります。この意味で、英語の仮定法と日本語の二重否定は近い関係にあると言えるわけです。
まとめ:may well / might wellの意味と違い
may wellは「そうなるのもわかる」という意味で、推量レベルを納得のいくレベルまで上げた表現です。
might wellは「そうなるのもわからなくはない」という意味で、may wellと比べると「一部肯定、一部留保」が加わった表現になります。
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コメント
“well”のコアイメージを日本語訳ではなく「程度を満足のいくレベルまで上げる」というイメージで捉えることは参考になりました。また、それを理解したうえで”may well”や”might well”の記事を読むと理解度が増しました。
通常のmayの意味はしっかり理解していましたが、may wellという使い方はしたことがなく、非常に新鮮な表現方法で大変勉強になりました。さらにmight wellの用法との意味の違いもよくわかりました。会話の中で、咄嗟の場面でも使いこなせるようになりたいです。
may well と might wellの使い方は正直この解説で初めて知りましたが、理論的な解説と例文でとてもよくわかりました。mayとmightでは全く意味合いが違ってくるというのはちょっと気を付けたいなと思いました。早速これから使ってみたいと思います。
wellをレベル感で表しているのが、とても良くわかりました。mayを「〜かもしれない」、may wellを「〜するのもわかる」と訳し、その訳だけで考えると、別物に変わってしまったように感じてしまいますが、wellをレベル感で表すと、その変化の意味がよくわかります。また、同時にmight wellまでおさえてくれているのは、とても有り難いです。
英語のコアイメージは日本語の感覚にとらわれていては十分な理解に到達することができないことを示す例として、may wellの事例が好適であると感じました。may とwellを分離してそれぞれのコアイメージから本質に迫るのが学習者にとって一番よいと思いました。
英語にもちょっと回りくどい言い回しがあるんですね。may well の組み合わせは、たぶん学生時代のカリキュラムにはあったのだと思いますが、すっかり記憶から消えてしまっていたので目新しく感じました。might well も含めて勉強し直したいと思います。
wellのコアなイメージと副詞として動詞を修飾する役割を絡めてmay wellの「~するのもわかる」という意味を説明している点が非常にわかりやすかったです。
過去系のmightを使った場合には推量のレベルがmayを使った場合よりも下がるので、意味合いが変わるのも納得しました。
この記事の内容は、勉強していたはずなのに真っ先に頭から零れ落ちた種類のものです。
mayで想定する確かさがwellで上がる、というコアイメージで捉えない限りは、絶対に日本人の頭で日本語で考えるうちは理解の尻尾も掴めませんね。
「そうなるのもわかる」という表現は少し難しくて使う機会もそれほど多くないのですが、絵の説明が解りやすくて覚えやすい点が良かったです。
また、練習問題があるのも良かったので、今後もやってみたいです。
助動詞mayの活用ということもあってかなり難しい部類のものではありますが、ユーモアを交えながら表現されているのでとてもいいなと思いました。例題や図を用いることによってインパクトもありますし、学習する人にとってはすんなり受け入れられる内容だと感じました。
Might as well はどういうイメージですか?
以下の記事をどうぞ。
https://www.english-speaking.jp/difference-between-may-as-well-and-might-as-well/