ネイティブとの会話でよく出てくるフレーズにDoes it make sense?(Make sense?とよく略される)があります。何かを説明した後に用いることが多く、「わかりますか?」という意味を表す表現です。
しかし、このセリフに対して、ネガティブな印象を受ける日本人の方もそこそこいるようです。この表現自体はむしろ丁寧な表現なのですが、なぜそのように感じてしまう人がいるのか、make sense自体のイメージと合わせて説明します。
make senseのイメージ解説
A | I’m going to take my cardigan with me today. (今日はカーディガンを持っていくよ) |
B | A cardigan? But it looks warm outside. (カーディガン?でも、外は暖かそうだよ) |
A | I know, but the air conditioning in my office is always freezing! I’ll need it inside. Does it make sense? (うん。でも、エアコンのせいでオフィスがいつも寒いんだ!オフィスの中で必要だろうからさ。この説明でつじつまが合ったかな?) |
B | Oh, right. That makes sense. (ああ、なるほど。それなら納得だね) |
例文:Does it make sense?(この説明でつじつまが合いますか?)
make senseは「つじつまが合う、話の筋が通る」という意味。このmake senseは「欠けているパズルピースを当てはめて理解できる形にする」イメージで捉えるとわかりやすいです。
ストーリーで言えば、「暖かそうなのにカーディガンを持っていく」という、Bにとって理解できない状態(=ピースが欠けている状態)のところに、Aが「オフィスがいつも寒いから」という説明を行いました。
その後、AはDoes it make sense?と聞いたわけですが、これはit(Aが述べた説明)がmake(カチッとはまる)をして、sense(理解できる形)を完成させているかどうかを、相手Bに確認しているイメージになります。
※it(説明)自体が自ら「はまる」ピースになります。また、makeは自動詞的に「完成させる」働きをしています。
まとめると、Does it make sense?は「説明した内容が欠けていたところにカチッとはまって、理解できる形になっていますか?」→「この説明でつじつまが合いますか?」となるわけです。
(君の計画は、完璧に理にかなっているね/100%筋が通っている)
日本人のmake senseの受け取り方と対処法
冒頭でネイティブにMake sense?と言われたとき、ネガティブに感じてしまう日本人の方がそこそこいるという話をしました。実際、Google検索のサジェストキーワードとして「make sense 失礼」が出てくるので、それなりにたくさんの人が感じているようです。
では、どうして私たちはMake sense?を失礼な問いかけと認識してしまうのでしょうか?
● Do you make sense? と勘違いしている可能性が高い
最も大きな理由は、Make sense?をDo you make sense?のように主語をyouとして理解しているからだと考えられます。
これは、相手にMake sense?と聞かれて、ついYes, I make sense.と答えてしまうような場合に、もれなく当てはまります。なぜなら、youについて尋ねられていると思うからこそ、主語をIにして答えているわけだからです。
誤文:Do you make sense?
これは誤文なので文の意味を考えても仕方がないのですが、「あなたは感覚を作れますか?」→「あなたに意味がわかる?」と煽られているように解釈してしまい、結果として「小馬鹿にされているのでは…」と感じることにつながっているのだと思います。
このような誤解を避けるためには、相手がMake sense?と聞いてきたとき、Does it make sense?と省略前の文章を復元して聞くようにするとよいでしょう。正しい主語を意識するだけで、ずいぶん印象が変わるので、ぜひ試してみてください。
類似表現との比較、使用場面
Does it make sense?と同じような意味を表す表現にDo you understand?とDid you get it?があります。これら類似表現との比較も確認しておきましょう。
Do you understand?
例文:Do you understand?(ちゃんとわかっていますか?)
Do you understand?は「ちゃんとわかっていますか?」という意味。
understandのコアイメージは「根本から理解する」です。対象の内部に入り込んで、内側から仕組みをきっちり把握するイメージの単語です。そのため、Do you understand?は「ちゃんとわかっていますか?」と本当に理解しているのかを確認するニュアンスになります。
このセリフは、業務上とても重要な指示をちゃんと理解しているのか真剣に確認するような場面や、先生が生徒に授業内容をちゃんと理解したのかを問うような場面などで使われます。
基本的に正解を持っている側からの発言になるため、ときに高圧的に聞こえる可能性があります。日常会話ではあまり使わないほうがよいでしょう。
Did you get it?
例文:Did you get it?(わかった?)
Did you get it?は「わかった?」という意味。
このgetは「わかる、理解する」ですが、イメージとしては「まるっと自分のものにする」ような感じで捉えるとよいでしょう。
このセリフは、友だち同士のような親しい間柄・カジュアルな場面でとてもよく使われます。itが何を指すのかはケースバイケースですが、クイズの答えがわかったのか、話の要点をつかんだのか、ジョークが通じたのかなど、どちらかというとその場での瞬間的な理解を問うときに使われる傾向があります。
※なお、イラストのクイズの答えは「chair」または「table」です。
Does it make sense?
例文:Does it make sense?(この説明は筋が通っていますか?)
Does it make sense?は「この説明は筋が通っていますか?」という意味。一般的には「この説明でわかりますか?」として解釈されます。
この表現は主語がitなので、説明内容がおかしくないかどうかを問うニュアンスになります。相手に対して「もしあなたがわからなくても、私の説明が悪かったのかもしれません」という配慮を示しているとも言えるので、一般的に丁寧な印象を与えます。
このセリフは、日常会話であれば相手にとって少しむずかしい内容や、相手が初めて知るような内容のときに使うのがしっくりきます。またビジネスシーンでは、プレゼンや会議などで説明内容がちゃんと相手に伝わったかを確認するときにピッタリの表現と言えるでしょう。
まとめ
make senseは「つじつまが合う、話の筋が通る」という意味。「欠けているパズルピースを当てはめて理解できる形にする」イメージで捉えるとわかりやすいでしょう。
相手にMake sense?と言われてネガティブに感じてしまうのを避けるためには、Does it make sense?と省略前の文章を復元し、主語がitであることを意識するとよいでしょう。
●類似表現の比較
フレーズ | 丁寧さ/フォーマル度 |
---|---|
Do you understand? | △(直接的、時に高圧的) |
Did you get it? | ◯(カジュアル、日常的) |
Does it make sense? | ◎(丁寧、フォーマルでも可) |
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