英語よもやま話

あの有名なTrick or Treatの日本語訳は意訳だった!?本来の意味とは…/トリックオアトリートで学ぶ英語のニュアンス

この記事は約6分で読めます。

10月31日はハロウィンですね。かなり広まってきていますが「そもそもハロウィンって何?」という方も多いのではないでしょうか。そんなハロウィンについて編集部の遠藤と今井が対談形式で解説します。

中学英語イメージリンク

ハロウィンの意味:なぜ仮装するの?

今井 ハロウィンって最近よく聞きますけど、なんでハロウィンに仮装するのか、いまいちよくわかっていないんですよね…

遠藤 確かに。仮装してパレードするイベント[01] … Continue readingはありますが、「仮装する理由」や「ハロウィンが何の日なのか」を知っている人は少なそうですね。

 では、今回はハロウィンで使われる有名なセリフ “Trick or Treat” を題材に、ハロウィンについて深堀りしてみましょうか。今井くんは、この “Trick or Treat” って聞いたことありますか?

 ありますよ。有名な「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ」ですよね。

 そうそう。trick は「いたずらをする」で、treat は「お菓子をもらう」というわけですね。でも、これはちょっと意訳になっていて、それぞれの単語がもっている本来のニュアンスからは少しずれているんです。いーやく(良い訳)ですけどね。

 (…)

Kids say “Trick or Treat!!”

 

“Trick or Treat”(トリック オア トリート)に省略されている言葉

 ごほんっ。それでは、どうズレているのかを説明していきましょう。その前に今井くん、”Trick or Treat” って省略されている言葉があるんですが、わかりますか?

 うーん…、わからないです。

 このフレーズは元々 “Treat me or I’ll trick you.” なんです。「私をTreatしなさい。さもなくば、あなたをTrickするぞ」ってことですね。

 あれっ?trick と treat の順番が変わってしまうのは、何か不思議な感じがしますね。

 順番を変えた “Trick or Treat” のほうがネイティブにとって言いやすいんでしょうね。 

 なるほど。確かに “Trick or Treat” は言いやすいですけど、”Treat or Trick” は何か言いにくいですね。慣れの問題かもしれませんが(笑)

 

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“Trick or Treat”の意味

treatの意味

 それでは、”Trick or Treat”という表現を深掘りしていきましょう。まずは treat ですね。treat のコアイメージは「人・モノが良くなるように扱う」です

 つまり、基本的には「喜ばせたり、いい感じにしたりするための行為」を表しているわけです。

 「おもてなし」のような意味合いでしょうか?

 そういった使われ方もするね。他には「施しをする」ようにも使われて、それが子ども相手だったら「お菓子をあげる」ことになるわけです。

 幅広い意味で使われる単語なんですね。

 

trickの意味

 次は trick ですね。trick のコアイメージは「ある目的をもってだます、惑わせる」です

 つまり、何かを得たいとか、誰かに何かをさせたいといった目的をもっているわけです。

 テレビの刑事モノでよく出てくる「犯人の使ったトリック(trick)」は、犯行をばれないようにする目的のもとで行われた「だまし」ってことですね。

 そういうことだね。

 

“Trick or Treat”は元々、誰のセリフだったのか

 そう考えると、treat の「お菓子」はまだ理解できますが、trick に「いたずら」という訳を当てるのは少しズレているように感じますね。

 子どものセリフとすれば妥当な訳なんでしょうけどね。子どもが「惑わす」といっても、せいぜい「いたずら」程度のことしかできないですから。

 でも、trick のコアイメージからはやっぱりズレていますね。このようにズレている理由は “Trick or Treat” が元々は子どもたちのセリフじゃないからなんですよ。

 あー、何かハロウィンは信仰チックな背景がありそうですね。

 

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ハロウィンで仮装して練り歩く理由

 元々、ハロウィンは日本でいう「お盆」のようなもので、この時期はこの世とあの世を隔てている「門」が開いて、霊が行き来できるようになると信じられていたんです。

 そのときに、死んでしまった親族の霊とは別に悪霊なんかも現世にやってきちゃうと。でも、そういった悪霊さんたちには穏便に立ち去ってもらいたいわけですよね。

 そりゃそうですよ。誰も喜んで「悪霊さん、いらっしゃ~い」なんて言わないと思います。

 そこで、悪霊たちを追い払う一連の儀式として、悪霊に扮した子どもたちに家々を訪問してもらい、玄関で “Trick or Treat” と言ってもらう

 そして、家人が悪霊たちにおもてなしをすることで、立ち去ってもらっていたわけなんです。

悪霊に仮装する子どもたち

 

ジャック・オー・ランタンは何者なのか

 ”Trick or Treat” は悪霊たちのセリフなんですね。

 そうなんです。だから、悪霊たちが言う “Trick or Treat” は、「ここで我々をもてなさなければ、次の一年間、お前たちを惑わせて困った状態にしてしまうぞ」といったニュアンスを表しているわけです。

 そういえば、ハロウィンには「ジャック・オー・ランタン」というカボチャのお化けみたいなのが出てきますよね。あのお化けカボチャがどうして怖そうな顔をしているかというと、悪霊たちを追い払うためなんです。

 えっ!?あのお化けカボチャは敵じゃなくて味方なんですか?てっきり悪霊の一種かと思っていました。

 元々は悪霊を追い払うためのものだったんです。でも、いまでは悪霊たちとお化けカボチャが仲良く一緒に描かれたりしていますからね…。そのあたりは、もはや適当だってことですね。

 

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「トリックオアトリート」への返事

 そういえば、この「トリックオアトリート」って日本ではハロウィンにおける挨拶のように使われていますよね。そう言われたときにはどう返事をすればいいんでしょう?

 「ハッピーハロウィン」で大丈夫ですよ。

 相手が子どもの場合は、保育園や学校でのイベントだと思うので、「トリックオアトリート!」と言われたら、お菓子を渡しながら「ハッピーハロウィン!」と言えばいいですね。

 相手が大人の場合は、仮装するのがメインのイベントだと思うので、「トリックオアトリート!」に対しては、「ハッピーハロウィン!」と返事をするだけでいいと思います。

 なるほど。これまであまりハロウィンには詳しくなかったですけれど、一通りわかった気がします。ありがとうございましたー。

 

まとめ:”Trick or Treat”の意味

trick のコアイメージは「ある目的をもってだます、惑わせる」。

treat のコアイメージは「人・モノが良くなるように扱う」。

“Trick or Treat” は元々「ここで我々をもてなさなければ、次の一年間、お前たちを惑わせて困った状態にしてしまうぞ」という意味でしたが、子どもたちのセリフとして「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ」という意味に変化していったわけです。

 

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注釈

注釈
01 渋谷のスクランブル交差点を中心に仮装して歩くイベント(特に主催者はいないためHPもありませんが、例年10月31日が一番多く集まるようです)が有名です
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コメント

  1. やまびこ より:

    ハロウィンの間は、霊が行き来できる時期だと考えられているとは全く知りませんでした。よく映画などで子供が骸骨とか幽霊みないな仮装をするのはその理由からだったんですね。「Trick or Treat」の意味も納得です。すごく勉強になりました。

  2. ステゴサウルス より:

    ハロウィンについて今までよく分かってなかったのですがこの記事を読んで理解できました。
    語源からたどって意味を考えるという発想もとても良かったです。
    子供からハロウィンって何?って聞かれた時にも説明できて助かります。

  3. ice_ice より:

    ハロウィンについて知らなかったことばかりで、勉強になりました。Trick or Treatの本当の意味を知ることができて、とても良い記事です。ハロウィンって深い訳があるのですね。ただのかぼちゃのお祭り仮装パーティかと思っていましたが、記事により内容を知ることが出来て恥をかかずに済みました。みんなに絶対伝えたい内容です。

  4. 匿名 より:

    trickもtreatもお菓子という意味はなさそうなのに、なんでこういう訳なのだろうと疑問に思っていたので、この記事を読んですっきりしました。英語の勉強にもなるので、他の記事もおもしろそうなので、これから読ませてもらいます。

  5. ゆちゅモモ より:

    ハロウィンは仮装をする日ぐらいのイメージしかなかったので、日本で言うところのお盆に近いものだとは知りませんでした。
    また「Trick or Treat」が実は省略されていた言葉というのも初耳です。元々のフレーズとは意味が変わって広まっていたなんて、ハロウィンとは意外に奥深いものなんですね。

  6. 映画好き より:

    ハロウィンのことは、グッズやインテリアがかわいいので好きだな~程度にしか思っていませんでしたが、本来のハロウィンの意味がわかってよりおもしろく感じました。

    本来の意味がだんだんと違ったニュアンスで使われるようになり、さらに曖昧になって娯楽となっていくようなところは、日本にも同様の事例があるので、どの国でも同じなんだなと思いました。

    記事の文章もわかりやすく、かつ少しユーモアもあって親しみやすいです。

  7. 匿名 より:

    trickとtreat、2つの意味が図付きで解説があるのがとても良いと思いました。字で理解する辞書などよりもパッと見て記憶に残る良い工夫だと思います。英会話だけでなく、ジャック・オー・ランタンに関しての豆知識は知っている人も多くないと思うので読んでいて「へー!」と納得、おもしろかったです。

  8. パン太 より:

    「Trick or Treat」という言葉の意味を深掘りしていくことで、ハローウィンの起源というか本当の意味合いに迫っていくという非常に興味深い記事だったと思います。日本ではハローウィンは若い人たちがイベントのように騒いでいますが、本当は非常に神聖な「悪霊たちを追い払う一連の儀式」だったんですね。非常に勉強になりました。

  9. MiNaKo より:

    まず、率直な感想は・・・この記事すっごーくおもしろいです!!いやあそうだったのねとたくさん感心してしまいました。かぼちゃのお化けはてっきり悪い奴だとばかり思っていました。実はお味方だったのですね。大事にせねば!ただ、Treatの意味ですが、私はこちらの方が解せないのです。なぜならば、奥さんが使っているトリートメントと通じるような気がして、これがなんでお菓子をあげるになってしまうのでしょうか?やっぱり、そこはちょっと疑問が残りますね。

  10. HBペンシル より:

    とても良い記事だと思います。

    我々日本人にとってハロウィーンはまだまだ馴染みが浅く、クリスマスのようにそのもとの意味が知られているわけではないので、ハロウィーンについての知識が英単語のコアの意味と絡められて書かれたこの記事はよくできた内容であると感じました。

  11. シーサー より:

    英会話習得の記事と言うよりも、もの凄く興味深い日本語の記事として読んでしまいました。それくらい、趣があって素晴らしい記事だと思います。

    もちろん、英会話の記事としても素晴らしく、TreatとTrickの図を交えた解説は興味深く読ませていただきました。treatを使う時って状況を悪くするような「取り扱う」には使ってはならないんですね。正直、知りませんでした。

  12. 匿名 より:

    近年ハロウィンに日に大騒ぎするようになっていますが、意味がわからずに騒いでいる人が多いんだなと思いました。trick or treatは学校で習ったのですが、正直どうして”お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ”という意味になるのかわかっていませんでしたが、この記事を読んでスッキリしました。

  13. お料理ママ より:

    ハロウィンの歴史的背景は知っていましたが、「Trick or Treat」の語源は知らなかったので大変興味深く記事を読むことができました。

    子供にとって仮装してお菓子をもらうだけのイベントにならないように、この記事の内容で補足説明をしたいと思います。

  14. ネロ より:

    日本ではもはやみんなでわいわいしたい人の口実みたいになっているけど、本来の意味を知れて興味深かった。日本のお盆と似ているけれども、日本では霊を招き入れておもてなしする意味合いが強いが、ハロウィンでは、悪霊が入ってこないようにする意味合いが強いのが、対照的で考え方の違いや文化の違いを感じられた。

  15. キャットマン より:

    ハロウィーンはここ最近日本でも行われる行事ですが、本来の意味、ならわしをよく知りませんでした。ハロウィーンのセリフや出てくるキャラクターのバックグラウンドがわかると、より行事を楽しむことができると思いました。

  16. Yuririn より:

    ハロウィンがこんなにも意味の深い行事だと知り驚きました。
    英語を勉強中の私としては、英語でも、日本語と同じように言いやすいように順序を変えたり、省略したりすることがあるんだなというところが面白いと感じました。
    異文化をテーマにした記事は楽しく英語が学べてとても良いと思います。

  17. とっぴん より:

    今、英会話の勉強中です。
    教材にハローウィンパーティの事が書いてあったので、思い出したことがあります。
    16歳の日本人留学生が、”Trick or Treat”と言いながら扉を叩いたところ、中から出てきたその家の主人に銃で撃たれ、その場で亡くなる事件(私は、断じて事故とは言いません)がありました。
    犯人はどういう訳か無罪になったそうです。
    アメリカにはそんな一面があります。

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