不可算名詞と可算名詞、単数形と複数形について

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書籍『英会話イメージリンク習得法』の第10章「モノの表現方法」に出てくる例文についてご質問を頂戴したので、著者の遠藤がお答えいたします。

英文 I ate fish last night. ですが、この fish は「単数形」ではなく「不可算名詞」ではないでしょうか。単数形なら a fish になると思うのですが、違うのでしょうか?

こちらは次のような意図だと解釈させていただきますね。

  • (1)”I ate fish last night.” のfishは「不可算名詞」ではないか?
  • (2)”I ate fish last night.” のfishは「単数形」とは呼ばないのではないか?

魚料理を食べて I ate fish. と言った場合、この fish は「不可算名詞」のイメージでしょうか?それとも「複数形」のイメージでしょうか?

こちらも次のような意図だと解釈させていただきます。

  • (3)次の写真における”I ate fish.” のfishは「不可算名詞」ですか?それとも「可算名詞」ですか?
  • (4)次の写真における”I ate fish.” のfishは「単数形」ですか?それとも「複数形」ですか?

fish_singular_plural

【質問1】”I ate fish last night.” のfishは「不可算名詞」ではないか?

【回答1】

はい、「不可算名詞」で間違いありません。

【質問2】”I ate fish last night.” のfishは「単数形」とは呼ばないのではないか?

【回答2】

結論から言いますと「単数」と表現するしかないのが現状です。「不可算名詞なのに単数形?」と思われるかもしれませんね。これには2つポイントがあります。

  • 1.単数は名詞の形式を表すもので、必ずしもその名詞が単数(1つ)であることを表すわけではない。
  • 2.不可算名詞には単数形しかない。

これは「単数形」という用語の定義次第ですが、本書では文法書『An A-Z of English Grammar & Usage』の記述を参考にしています。

▼日本語訳

  • 英語では名詞は可算名詞、不可算名詞にわけられます。
  • 多くの一般的な名詞は可算名詞です。すなわち、それらは単数形と複数形の両方を持ちます。例:hand~hands
  • 他の一般的な名詞は不可算名詞です。それらは単数形を持ちますが、複数形はありません。例:bread~breads

▼原文

  • In English, NOUNS can be divided into countable and uncountable nouns.
  • Most COMMON NOUNS are countable: i.e. they have both SINGULAR and PLURAL forms: e.g. hand ~ hands.
  • Other common nouns are uncountable: they have a singular, but no plural: e.g. bread ~ breads.

『An A-Z of English Grammar & Usage』P.110より引用、遠藤翻訳

個人的には、不可算名詞として用いられる名詞は「単数形」ではなく「基本形」のような用語のほうが誤解がなくてよいと思っています。そのような適切な用語がないのが問題ですね。

【質問3】写真における”I ate fish.” のfishは「不可算名詞」ですか?それとも「可算名詞」ですか?

【回答3】

話し手が「魚料理・魚肉」の意味を伝えたいとき、英語ではfish単体(無冠詞+fish)を使います。そして、fish単体は「不可算名詞」として分類されます。

「写真には料理された魚が複数あるのに不可算名詞?」と思われるかもしれませんね。この疑問については、書籍『英会話イメージリンク習得法』のCoffee Breakコーナーで取り扱っておりますので、該当部分を引用します。

今井 ここで僕はわからなくなるんです。だって、「魚料理」って数えられるじゃないですか。なんで「魚料理」は数えられない名詞なんですか?

遠藤 それは多くの日本人が一度は思ったことがある疑問だと思います。まずは、みなさんが可算・不可算という表現に出会う辞書で、fishがどのように書かれているのかを見てみましょう。

fish 【可算】(泳いでいる姿のままの)魚
【不可算】魚肉、魚料理

これを見たら大半の人は「なぜ魚肉や魚料理は数えられないのか?」と今井くんと同じ疑問を感じるはずです。本来は次のように書くべきなのです。

a fish 泳いでいる姿のままの魚(輪郭+中身)
fish 魚の中身、魚肉、(慣例的に)魚料理

「可算」は a fish に対応し、「不可算」は fish(単体)に対応しています。

さきほどの疑問がでてくるのは、私たちが「魚料理」という日本語について考えていることが原因です。辞書にはfish(単体)で用いられるときが「魚料理」だと記載しているのに、私たちは日本語の「魚料理」が数えられるとか数えられないとか言っているわけです。

しかし、これはまったく意味のないことです。日本語の世界では「魚料理」は1品、2品と数えられるものですが、そのことと fish(単体)の意味が「魚料理」になることは無関係なのです。…(以下略)

『英会話イメージリンク習得法』P.237 Coffee Breakより引用

日本語では勝手にモノの輪郭を設定できるので、どんな名詞でも数えあげようと思えば数え上げられる特性を持っています。そのような日本語的な感覚で、英語の名詞が可算なのか不可算なのかを判断するのは大変難しいものです。

そのため、もっとすっきりと fish単体なら「魚の中身、魚肉、魚料理」という意味、a fish / two fish なら「一匹の魚/二匹の魚」という意味と捉えたほうがわかりやすいですし、実用でも役立つと思います。(なお、可算名詞fishは単複同形です)

【質問4】写真における”I ate fish.” のfishは「単数形」ですか?それとも「複数形」ですか?

【回答4】

写真のように料理された魚が複数あったとしても、「魚料理」を英語で表現するときはfish単体になります。不可算名詞なので「単数形(という名詞の形式)」となります。

もし、このfishが「(可算名詞の)複数形」であると考えるならば、two fishのtwoのような単語が必要で、しかも”I ate two fish last night.”の場合は「昨晩、二匹のピチピチ跳ねている魚を食べた」となってしまいます。その結果、最初に言いたかったはずの「魚料理を食べた」から文意がズレてしまうわけです。

“fish” or “a fish”?

最後にクイズです。次の7つのイラストを見て、それぞれの場合にネイティブはfish と言うか a fishと言うかを考えてみましょう。「意外!」と思うものもあるかもしれませんよ。

答えは… 本書に記載しておりますので、ぜひご購入頂ければと思います\(^^)

英会話イメージリンク習得法』(Amazon)

コメント

  1. moon より:

    例えば、海鮮丼を1つ注文した時に、
    出された海鮮丼の上の、
    調理された魚を数えられるかどうか?考えてみればわかりやすいのでは?
    切り身になった状態では、それが一匹なのか、何匹なのか数えられないから、
    a はいらなくなる。

    そもそも、逆に、昨日何食べた。っていう時に、魚料理が何個あったのか?
    なんてあまり考えないし、覚えていない。ざっくり全体を指して、魚料理。
    って伝えるのが自然だと、私は感じる。

    さらに、魚料理が何個あったのか? を数えるとしても、
    《何皿あったのか?》というように、皿の枚数を数えたらいいのでは?と思った。

    つまり、
    数えられるか、数えられないか?ではなく、
    ≪ 自分がそれを、カウントしたいかどうか? どう数えたいか?≫
    というイメージの問題だと思う。

    元々あるイメージに囚われず、自分から、
    イメージをもっと具体的に膨らませていくことが、
    大事だと、私は思う。

    って書いたけれど、
    この疑問があったからこそ、a とか the について考える機会を得て、
    自分の意見が出てきたのかもしれない。

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