makeと言えば「作る」という意味が有名ですね。makeが持つ意味は、この「作る」からの連想でだいたい押さえられますが、もう少し理解を深められるようにイメージと意味の樹形図を用いて、makeについて学んでいきましょう。
makeのコアイメージ
makeのコアイメージは「こねて、形づくって、固定する」です。
makeには積極的に手を出して何かを作り上げるイメージが含まれていることに注意してください。
makeの意味の樹形図
コアイメージを元に、makeの主な意味を分類したものが、次の樹形図です。
この樹形図は、たとえば「完成させる、達成する」という意味から「整える」や「成功する」という意味が派生していることを表しています。
makeの主な意味と例文
作る
「作る」はmakeの最も基本となる意味です。基本的には、そこにある素材を使って何かを作り上げるイメージで捉えるとよいでしょう。
例文:He made this sandwich.(彼がこのサンドイッチを作った)
この文におけるmakeは、パン・レタス・トマト・チーズ・ハムなどの素材を組み合わせて、サンドイッチという具体的な形に「作り上げる」イメージです。素材を加工したり、重ねたり、挟んだりする一連の作業を経て完成させる感覚です。
料理、工芸品、家具など目に見える物理的なものを作る文脈では、makeは「素材や材料、部品を使って作り上げる」イメージがだいたい当てはまります。
(コーヒーを淹れてくるよ)
作成する
例文:I need to make a list of groceries.(食料品のリストを作成する必要がある)
make a listで「リストを作成する」という意味になります。この場合は物理的な素材ではありませんが、たとえば「冷蔵庫に牛乳がなかったな」という頭の中にある記憶や、「明日の朝ご飯はトーストにジャムを塗って食べようかな」といった考えなどを元にリストを作成しています。
情報、記憶、考えなどを使って、何かを作り上げるイメージで捉えるとよいでしょう。
(次の会議のために書類を作成しなければなりません)
作り出す
例文:He made money through clever investments.(彼は賢い投資を通じてお金を稼いだ)
make moneyは「お金を稼ぐ」という意味です。単純な労働の対価、ビジネスモデルなど仕組みによる収益、どちらの場合にも使うことができます。
自分の持つリソース(労働力、知識、資産、時間、アイディアなど)を活用した能動的な活動を通じてお金を得る・生み出すというイメージで捉えるとよいでしょう。このタイプのmakeは「能動的な行為によって、何かを作り出す」イメージになります。
比較
・earn money:労働などの対価として得られる報酬という意味合いが強い
・get money:方法や手段に関係なく、お金を手に入れること
(彼の行動が大きな違いをもたらした)
完成させる、達成する
makeの「何かをこねて、完成させる」イメージから、「ある合格ラインに到達する(=達成する)」というニュアンスも派生します。
make単体には「達成する」という意味での用法はありませんが、次に挙げる「成功する」「間に合う」「到着する」という意味には、この「達成する」ニュアンスが含まれています。それぞれ例文で確認しておきましょう。
成功する
例文:She finally made it as an actress.(彼女はついに女優として成功した)
このmake itは「成功する」という意味です。自分の持てるリソース(才能、スキル、知識、時間、情熱、人脈、資金など)を使って、女優としての目標ライン(it)に到達した(made)というイメージで捉えるとよいでしょう。
make itは、困難・努力・時間がかかった末に目標を達成したという文脈でよく使われます。
(長年の苦労の末、彼はついに成功した作家になりました)
間に合う
例文:I need to leave now to make the train.(電車に間に合うために、今すぐ出発しなければならない)
make the trainは「その電車に間に合う」という意味。これも「成功する」のmake itと根っこが同じで、「目標とする場所に到達する」イメージで捉えることができます。
この場合の目標は、その電車に乗ることです。時間的な制約がある中で、その電車に乗ることを達成するというイメージから、「間に合う、間に合わせる」という意味が発生しています。
(映画に間に合いたいなら、急がなければなりません)
到着する
例文:I’m glad you could make it.(到着してくださって嬉しいです/ようこそいらしてくださいました)
I’m glad you could make it.は、誰かが招待された場所や予定されていた集まりなどに来てくれた際によく使われる歓迎や感謝を表す表現です。
このmake itは、相手がその場所に来るために、何らかの努力(時間の調整、移動など)をしたかもしれないというニュアンスを含んでおり、「都合をつけて来る、到着する、参加する」といった意味になります。
(あなたが無事に家に帰ってきて嬉しいわ)
ある状態にする
make+O+Cは「OをCの状態にする」という意味。makeの「こねる」イメージから、強制的・意図的なニュアンスが含まれています。
例文:Her speech made the audience emotional.(彼女のスピーチは観客を感動させた)
make the audience emotionalは「観客を感動的な状態にする」という意味。makeの持つ強制性から、観客は否応なしに感動させられた、と捉えるとよいでしょう。
(彼らは客のために部屋を快適にしました)
人に~させる
make+人+動詞の原形 は「人に~させる」という意味で、使役構文の一種です。相手がどう考えていようがお構いなしに(=有無を言わさず)、強制的に「~させる」感じになります。
例文:She made her brother clean his room.(彼女は弟に彼の部屋を掃除させた)
make her brother clean his roomは「弟に彼の部屋を掃除させる」という意味。弟がどう考えていようが関係なく、強制的に部屋を掃除させる。彼女の意志の強さが感じられる表現です。
(彼は私を笑わせた)
まとめ
makeのコアイメージは「こねて、形づくって、固定する」です。積極的に手を出して何かを作り上げるイメージが含まれていることに注意してください。
意味の樹形図
意味 | 例文 |
---|---|
作る | He made this sandwich. |
作成する | I need to make a list of groceries. |
作り出す | He made money through clever investments. |
完成させる、達成する | |
成功する | She finally made it as an actress. |
間に合う | I need to leave now to make the train. |
到着する | I’m glad you could make it. |
ある状態にする | Her speech made the audience emotional. |
人に~させる | She made her brother clean his room. |
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