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動名詞とは
例文:I like playing soccer.(私はサッカーをすることが好きです)
playing soccer は「サッカーをすること」という意味です。この playing を「動名詞」と呼びます。
現在進行形で習った現在分詞と同じ形(動詞のing形)をしていますが、その意味や役割が異なっているので区別されています。
動名詞は「(まさに)~すること」を表します。動名詞の特徴として「名詞と動詞をあわせもつ」ことが挙げられます。動名詞は何かしているところを写真で切り取ったイメージで捉えるとよいでしょう。
動名詞と to不定詞の違い
動名詞:I enjoy playing soccer.(私はサッカーをすることを楽しんでいます)
to不定詞:I want to play soccer.(私はサッカーをすることを欲する/私はサッカーをしたい)
動名詞と to不定詞は同じ「~すること」と訳されますが、ニュアンスには違いがあります。結論から言うと、動名詞は「これまでのこと」を表しやすく、to不定詞は「これからのこと」を表すときによく用いられます。なぜそうなるのか、それぞれ説明しておきましょう。
まず、動名詞には「まさにその動作」というリアルなニュアンスが含まれています。この「まさにその動作」は過去の経験などによって描かれることが多いので、「これまでのこと」というイメージと結びつきやすいわけです。
一方で、to不定詞は「向かう先にある動作」というイメージのものです。これから先にある動作として「これからのこと」というイメージと結びつきやすいわけです。
動名詞と to不定詞の使い分け
動名詞は「これまでのこと」、to不定詞は「これからのこと」というニュアンスの違いから、「目的語に動名詞を主にとる動詞」と「目的語に to不定詞を主にとる動詞」に分かれます。それぞれ代表的な例を確認しておきましょう。
■ 動名詞を主にとる動詞
・enjoy -ing(~することを楽しむ)
・finish -ing(~することを終える)
・stop -ing(~することを止める)
■ to不定詞を主にとる動詞
・want to ~(~することを欲する、~したい)
・hope to ~(~することを望む)
・decide to ~(~することを決心する)
また、目的語に動名詞をとるか、to不定詞をとるかで意味が変わってしまう動詞もあります。こちらも代表的な例を確認しておいてください。
■ 動名詞と to不定詞で意味が変わる動詞
・remember -ing(~したことを覚えている)
・remember to ~(~することを覚えている)
・forget -ing(~したことを忘れる)
・forget to ~(~することを忘れる)
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ことばの研究室
■ 英語に対する感覚を死なせないことが大事
今井 説明を聞いていて、中学校で「stop の後は動名詞にしなければいけません」と教えられたのを思い出しました。僕はこういう押しつけがすごく嫌いで、そう言われる度に「なんでだよ」ってイライラしていたんですよね。
遠藤 なんとなく想像できますね(笑) でも、納得できないことはなかなか素直に受け取れないですよね。
今井 それもありますし、押しつけられた途端に僕の中で英語に対する感覚が死んでしまうんですよね。
たとえば、It will stop raining soon.(きっとすぐに雨がやむだろう)という英文であれば、raining という単語に「雨が降っている」というニュアンスが含まれているはずですよね。降っている雨が止むわけだから、stop raining になるのは当たり前だと思うんです。
それが「覚えなさい」と言われた途端に、そういうイメージが描けなくなってしまう。とりあえず、stop だから raining にしておくかってロボットみたいな反応しかできなくなってしまうんです。
遠藤 どんな表現でも人間が使っている以上、「なるほど一理あるな」と感じるところがあるはずですからね。
本文でも述べましたが、動詞の want は「これから先に~すること」をしたい → to不定詞となりますし、enjoy は「いま(or これまで)~していること」を楽しむ → 動名詞となります。それだけのことなんですよね。
今井 ルールというより、あくまで自然なことですよね。
遠藤 そうですね。人間的な感覚に合わない表現は自然と淘汰されていくので、いま残っている表現にはそれなりに妥当性があるはずです。なので、釈然としないルールが提示されたときには、その背景を考えてみると面白いと思いますよ。おすすめです。