第21章 that節

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今回のテーマは「that節」です。that節なんて聞くと、急に難しそうな気がしてしまいますよね。でも、その正体は I think that ~(私は~だと思う)の「that ~」のことです。ここでは、この that がどういう働きをしているのかを説明していきます。

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that節とは

例文:I think that Taro is busy.(私は太郎は忙しいと思う)

I think that ~. は「私は~だと思う」という意味になります。また例文の that Taro is busy の部分を「that節」と呼びます。

例文は I think(私は思う)→ that(その内容は…)→ Taro is busy(太郎は忙しい)という流れになっています。この that について少し詳しく見てみましょう。

まず、that は「あれ、あの」という意味が有名ですよね。イメージで言えば、遠くを指さして「あれ、あの」と指示する単語です。

この「遠近感」は距離的なものだけではなく、心理的なものに対しても使うことができます。たとえば、既に知っている事柄は「身近な出来事」のように感じますよね。逆に、まだ知らない事柄は「縁遠い出来事」になります。

that は「遠い」方のニュアンスをもつ単語なので、聞き手にとって遠くにある「話し手の考え」を指さして、その内容を導くような働きをするわけです。

I think that の that は、話し手がこれから考えを述べる「目印」になっているとも言えます。


■ that節をよくとる動詞

・I know that ~(私は~ということを知っている)
・I hope that ~(私は~ということを望んでいる)
・I believe that ~(私は~だと信じている)
・I realized that ~(私は~だとわかった)
・I said that ~(私は~だと言った)

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that の省略

例文:I think Taro is busy.(私は太郎は忙しいと思う)

think の後にはたいてい「考えている内容」が続きます。そのため、内容をこれから述べますよ、という目印の that をわざわざつけなくても、考えている内容を述べていることがわかります。

このようなこともあり、that節の that はよく省略されます。直前の動詞が think 以外の場合も同じようによく省略されます。

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時制の一致

例文:Taro said that he was busy.(太郎は忙しいですと言った)

太郎が話した内容がそのとき忙しかったことであれば、he was busy のように過去形を使います。これを「時制の一致」と呼びます。

英語だけを見ればわざわざ「時制の一致」と呼ぶほどのことでもないのですが、日本語訳したときに「忙しいです」と話した内容のところが現在形になるので、日本語と英語でズレが生じていることに注意してください。

時制の一致は、日本語から英作文をするときに特に意識しておくとよいでしょう。

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ことばの研究室

■ this ではなく that を使う感覚

今井 that節という言葉はいまだにしっくりきませんが、考えている内容を述べるときに that を使うという説明はよくわかりました。日本語でも「この考え」より「あの考え」の方が遠くにある感じがしますもんね。

遠藤 そのあたりの感覚は英語も日本語も同じですね。「話し手の考え」はふつう「聞き手にとっては知らないこと」なので、that という遠くを指さす単語でつないであげているわけです。

今井 this だと「聞き手からも近くにある」感じになるんですかね?

遠藤 そのような捉え方でいいと思います。ふつうは「聞き手が知らない私の考え」を伝えようとするので、I think this ~ よりも I think that ~ の方がしっくりくるのでしょうね。

今井 まあそれはそうですよね。

遠藤 あと、that は元々「あれ、あの」という意味の代名詞です。つまり、名詞だと考えて差し支えありません。今回の that節では、それと同じように that 以降の文を名詞化してしまっているわけです。

今井 I think that ~ の「that ~」が「~ということ」という意味で、名詞のようになっているということですね。

遠藤 そうです。

今井 そう考えると、ここで that を使っているのはうまいですね。すごいな。

■ 時制の一致に見る日本語と英語の違い

今井 時制の一致って大嫌いな英文法の1つだったのですが、いま聞いてみるとそんなに難しい内容ではなかったのですね。むしろ、話した内容が過去のことだったら過去形にするって当たり前のことですよね。

遠藤 そうですね。時制の一致は日本語と英語におけるズレを説明したものなので、日本語と英語を行き来するときに知っておくとよいことです。

今井 日本語と英語でズレているということですが、これも物の見方の違いからきているのですか?

遠藤 その通りです。せっかくなので、以下の文で日本語と英語でどのように物を見ているのかを確認しましょう。

例文:Taro said that he was busy.(太郎は忙しいですと言った)

 まず日本語訳のイメージから説明しますね。「忙しいです」の部分ですが、これは太郎がいままさにそう話している感覚で使われています。そして、「と言った」の部分で、話し手がその内容を過去のことにしているわけです。

今井 現在形で「忙しいです」と述べた内容自体を、「と言った」で過去のことにしてしまっているのですね。

遠藤 そうです。日本語では内容に応じて視点が切り替わっているとも言えます。「忙しいです」は太郎の視点で表現されたもので、「と言った」は話し手の視点で表現されたものです。

 このように日本語ではその場その場に入り込んで、そこでの内容をそのまま再現するので、過去の話であっても「忙しいです」のような現在形が混じってくるのです。

今井 なるほど。そんなことは意識したことはありませんが、言われてみればそうですね。

遠藤 次に英文のイメージを説明します。Taro said that なので、太郎が言ったのは過去のことです。そして he was busy で太郎が言った内容もそのまま過去のこととして述べています。

 つまり、英語では常に現在から物事を眺めています。立ち位置が動かないので said、was と両方とも過去形になっているわけです。

今井 英語ではその場に入り込まずに、常に一歩引いた状態で見ているということですね。

遠藤 その通りです。まとめると、時制のズレが発生するのは、日本語と英語で立ち位置が異なっているからなのです。

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