やり直し中学英語 #7『これまでの補足』の動画要約

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第7回目は『これまでの補足』です。日本人であれば当たり前のようにやっている「あること」が、英語をマスターする妨げになっています。今回は英語学習の落とし穴について解説しました。

※こちらの記事は、中学英語のおさらい動画の内容を要約したものです。

動画内容は書籍『中学英語イメージリンク』に準拠しています。動画とあわせてご活用ください。

中学英語イメージリンク

導入・目次

テーマは「英文法を日本語に落とし込まないようにする」です。

この解説動画シリーズの目的は、英文を英語のまま理解できるようになってもらうことです。しかし、英語の世界観は私たち日本人にとってしっくりこないもの。そのため、ついつい日本語の世界観に落とし込もうとしてしまいます。その具体例を2つ取りあげて説明していきます。

本日のトピックです。

(1)英単語を日本語に落とし込んでしまう

(2)英文法を日本語に落とし込んでしまう

英単語を日本語に落とし込んでしまう

次のような会話で考えていきます。

子ども:eraser って何?
親:eraser は消しゴムのことだよ

子どもからの質問に対して、このように答えるのは、ごく一般的なことだと思います。

別のパターンを見てみましょう。

子ども:eraser って何?
親:eraser はこれだよ

今回は消しゴムを手にもって、現物で説明しています。

どちらも同じように思うかもしれませんが、実は大きな違いがあります。それは、パターン1では eraser を日本語の「消しゴム」に結びつけているのに対して、パターン2では eraser を「現物」と結びつけているのです。
パターン1だと、現物と結びついていないので、いちいち日本語の「消しゴム」を経由しないと eraser が出てきません。でも、私たち日本人にとって英語を思い出すときの、おなじみの流れですよね。
パターン2だと、現物と結びついているので、すぐに eraser が出てきます。わずかな差と思うかもしれませんが、「これ何て言うんだっけ?」と考えなくてよいのは、現実の英会話においてスムーズにやり取りをする上で、とても重要なことです。

つまり、現物があるのであれば、現物で覚えるのが一番だということです。現物・現実に勝るものはないのです。

▼今井くんとの対談

・ネイティブに言われた「りんごはりんご、apple は apple」

・学校英語では現物にふれられていないのが問題

ここで紹介した書籍→『もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになるか

英会話イメージリンク習得法

英文法を日本語に落とし込んでしまう

英単語よりも難しいのが「英文法」です。なぜならば、日本語を使わなければ、そもそも解説すらできないからです。
Part.6 の解説動画で取り上げた What と How を例に、「英文法」について考えてみましょう。まず、日本語を経由するパターンを見ていきます。

What は「何」で、How は「どう」という意味です。How の用法で、How are you? は「状態」を表して、「どんな」という意味になります。How do you go to school? だと「方法」を表して、「どうやって」という意味になります。

ごく普通の解説ですよね。学校でも塾でも、このように教えられることがほとんどだと思います。

さきほどの解説でうまくいくのであれば問題ないのですが、実際のところ what と how はうまくいかないことが多々あります。

たとえば、街角で「どう思いますか?」とインタビューしている場面を考えてみましょう。

これを英語でどう言えばよいか考えるとき、ふつうは「どう思う?」に対して、「どう=How」だから、「How do you think?」と考えがちです。でも、これは不自然な表現なのです。

なぜならば、How do you think? は「どうやって思いますか?」という意味になるからです。どうやって考えているのか、その方法を尋ねているニュアンスになってしまっているわけです。

そこで、この場合は例外として、尋ねたいことは「何」なのだから、「どう思う?」を「何を思う?」と置き換えて、What do you think? とするのですよ、と解説されます。

おさらいしましょう。「どう思いますか?」を英語でどう言えばよいでしょうか。

まず「どう思う?」だと方法を尋ねていることになるので「何を思う?」にして、「何=What」だから「What do you think?」となります。これでようやく正しい表現にたどり着きました。

このやり方に何か問題があるでしょうか? 残念ながら問題はありありです。

端的に言って「道のりが長すぎる」のです。英単語のときも述べましたが、英会話の場では「日本語の言い換え」なんてやっている暇はないのです。

英文法が英語表現にストレートに結びついていなければ、その英文法は現場では使い物になりません。結果として、英文法は役に立たないから、英語表現を丸暗記するしかないとなってしまうわけです。

では、英語表現にストレートに結びつく英文法について見ていきましょう。このとき日本語の代わりにイメージを用います。

What は「何なのかわからないもの」を表し、固まりのような堅いイメージの単語です。How は「どうなのかわからない」ときに使い、フワフワした柔らかいイメージの単語です。

How are you? は「あなた=どう?」となります。How と you を結びつけるようにイメージしてください。

How do you go to school? だと「あなた、どう行く?」となります。How を go にかぶせるようにイメージしてください。

(動画で示した)ボディランゲージはおおげさに見えるかもしれませんが、感覚をつかむのにとても大切なことです。学習する際にはぜひ真似をしてみてください。

パターン1と同様に「どう思いますか?」を英語でどう言えばよいか考えてみましょう。

まず、発想として「どう思う?」という日本語ではなく、尋ねたいことは「相手のセリフ」であることをおさえる必要があります。「相手のセリフ」はガシッとつかめるような固まりなので、What を持ち出します。あとは相手に尋ねる do you think? をもってきます。

スムーズに出てきていますよね。日本語の「どう思う?」をこねくり回す必要はないのです。

what がガシッとつかめるような固まりだったのに対して、how はフワフワした柔らかい感じです。特に How do you の構文はよく質問されるので、もう少し練習しておきましょう。

How do you においては、How は動詞に「どうなのかわからない」モヤモヤをかぶせるようなイメージで捉えてください。例文を2つ取り上げます。

How do you get to the town? では、How というモヤモヤを get にかぶせるようにイメージしてください。

How did you find out? では、How というモヤモヤを find out にかぶせます。

まとめると次のようになります。

What は「何なのかわからないもの」を表し、固まりのような堅いイメージ。
How は「どうなのかわからない」ときに使い、フワフワした柔らかいイメージ。
How do you ~ で、How というモヤモヤを動詞にかぶせます。

▼今井くんとの対談

・日本語に落とし込むと時間がかかる、毎回例外を思い出すのは無理がある

きれいな日本語訳で終わらない(英語のまま終わらせる)

Part.6 の解説動画では、安易に、日本語訳で終わらせてしまっていました。これは良くなかったですね。
このようにイメージ英文法を解説している私でも、ついつい日本語訳で済ませてしまうことがあります。なぜなら日本語訳で終えると、きれいに落とし込めたと勘違いしてしまうからです。英語を教える人・学ぶ人ともに、きれいな日本語訳で終わらせない、英語のまま終わらせる、ということを強く意識する必要があるわけです。

ただ、日本語訳をすべて否定するわけではありません。今回は日本語を極力排除した解説にしているので、少し不安定な感じになっています。実際に教えるとき・学ぶときはもう少し間を取ったほうがいいと思います。でも、最後は英語の世界観で終えるようにする、ということは意識しておきたいですね。

あと英文法をモノにするためには、How do you のところで見たように、ボディランゲージを使いながら、実際の英語表現で確かにそうなっていることを確認していく必要があります。いまの英語教育では、ここを「きれいに日本語訳できているかどうか」でチェックしてしまっているのが、大きな問題だろうなと思っています。

▼今井くんとの対談

・日本語訳で終わらせようとしてしまう2つの原因

・英語を英語のまま理解するスタイルは途方もない?

英会話イメージトレース体得法

日本語の「どう思う?」と「何を思う?」は違う

日本語における「どう思う?」と「何を思う?」は違っていることについても見ておきましょう。
日本語の「どう思う?」は、何かのテーマを前提にして、どのように考えているのかを尋ねるときに使う表現です。
一方で「何を思う?」は相手が考えていることがわからない上での質問です。イラストにあるように、ぼーっとしている人に対して「何を考えているの?」と用いたりしますよね。
つまり、「どう思う?」には前提があり、「何を思う?」には前提がないわけです。そのため、これらを言い換えることはできません。言い換えた時点で別物になってしまうのです。
いま見たように「何を思う?」は相手が考えていることがわからない上での質問です。そのため、この表現に近い英語の What do you think? は、相手が何を考えているのかわからない前提での質問と言えます。

逆に、日本語の「どう思う?」は、あらかじめテーマをしぼった上での質問です。このような場合は「どう」を使うのが日本語におけるスタンダードです。

このことから次のようなことが言えると思います。

・日本語は前提を置きやすい文化
・英語は前提をあまり置かない文化

念頭に置いておくと英語学習において役立つこともあるかと思います。

▼今井くんとの対談

・いま中学生の人はどうしたらいいのか

・英語の教育現場について

What と How の違いをもっと知る

What と How の違いでわかりにくい表現として、「What about? と How about? の違い」があります。ブログで解説しているので、よかったら見てみてください。

英会話の基礎力アップテキスト

編集後記

今回の動画ではすごく重要なことを取り上げています。それは「日本語に落とし込まないようにすること」です。

英単語・英文法ともに途中までイメージを用いて解説しているのに、最後のところで日本語に落とし込んでしまっていることが(自戒を込めて)多いと思っており、英語を英語のまま落とし込むのに必要なことについて述べました。

また、今井くんからの質問「いま中学生の子はどうしたらいいと思いますか?」にもお答えしました。中学・高校のお子さんをお持ちの方もぜひ見てみていただければと思います。(遠藤)

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