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第3回目は『形容詞・副詞』です。この副詞ですが、学校英語での解説の仕方に問題があると思っています。何が問題なのか、どう考えればいいのかについて解説します。
※こちらの記事は、中学英語のおさらい動画の内容を要約したものです。
導入
![]() | テーマは「英語の副詞は動きを上乗せする」です。 今回、主に取り上げたいのは副詞の方です。名詞、動詞、形容詞などと比べて副詞ってわかりにくいですよね。そのようなつかみにくい副詞をイメージをつかって解説したいと思います。 |
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形容詞:状態・性質を表す
![]() | 形容詞を簡単におさえておきましょう。 a big dog(大きな犬) この big を形容詞と呼びます。形容詞は人や物の状態や性質を表します。 |
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副詞①:上乗せする
![]() | ここから副詞を解説していきます。 He runs fast.(彼は速く走ります) fast を副詞と呼びます。この fast は「走る」にかかっており「速く走る」という風に意味を変化させています。このように副詞は、動詞などに動きを加えて、その意味を修正・変化させる働きをします。 |
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![]() | 問題は、英語と日本語で副詞の置かれる位置が異なっていることです。 日本語:彼は速く走ります。 日本語の副詞は、基本的に前に置かれます。ここから「速く」は「走ります」にかかる、という説明をよくします。 一方で、英語の副詞の位置は、基本的に動詞の後ろに置かれます。これを日本語の感覚で「fast は runs にかかっている」と理解するのは実はあまりよくありません。 なぜなら、それは英語を「日本語の世界観」で理解しようとするようなものだからです。簡単な英文だからこそ、英語を英語のまま理解することが重要です。 |
![]() | 英語の世界観では「runs の動きに fast を上乗せしている」と捉えます。 たとえるならば、動詞 runs の作り出すビッグウェーブの上に副詞 fast が乗っているようなイメージです。このようにして fast は runs の意味を変化させるわけです。 |
![]() | ▼英語の副詞 ・動詞の動きに上乗せする。 ・基本的に後ろに置く。 |
![]() | ▼今井くんとの対談 ・学校の授業で習った「後ろから前に掛かる」は、日本語の世界観で理解しようとすること。ネイティブは「途中で戻る」ような理解の仕方をしない。 ・このような理解の仕方は、英語を日本語訳するときには役立つが、英会話や英文を作るときには役立たないどころか迷わせてしまう原因になる。 |
副詞②:動きを加える
![]() | 英語の副詞の働きをもう少し広く捉えれば「何かベースとなるものに対して、動きを加えて、意味を一部修正する」となります。副詞は動詞以外にも働くことができます。 I am busy now.(私はいま忙しいです) now が副詞です。この now は、「私は忙しいです」という状況を「いま」という時間軸上に移しています。このように副詞は、文全体に働いて、その日時や場所を表す働きをします。 |
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![]() | 動詞と副詞が離れている場合についても確認しておきましょう。 He speaks English well.(彼は英語を上手に話します) well が副詞です。この well は「英語を話す」に上乗せすることで、「英語を上手に話す」という意味に変化させています。 この例文では well は speaks と離れています。このような場合、「動詞の余韻に副詞を加えている」と捉えることがポイントです。 |
![]() | 英語では、動詞は目的語に当たったらおしまいというわけではなく、目的語に当たった後も、余韻を残すことができます。そのような動詞の余韻部分に、副詞を加えて、意味を変化させています。 |
![]() | ▼英語の副詞 ・動きを加えて、意味を一部修正する。 ・動詞と離れていても、働くことができる。 |
![]() | ▼今井くんとの対談 ・now の矢印は「それまでに描いた状況を、ある時点に移動させる」動きを表している。日本語の「いま」には動きのニュアンスは含まれていないので、そこは英語と日本語で大きく違うところ。 ・副詞はなくても最低限のことは伝わる、より話に深みをもたせるためのもの。He speaks English. だけでも伝わると言えば伝わる。日常会話的にはちょっと厳しいけれど。 ・speaks のような動詞側から見れば、さらに詳しくする情報が来る可能性があるということ。副詞的には、動詞のビッグウェーブに乗る感覚。 |
編集後記
動画収録も3回目となり、だいぶ慣れてきました。アシスタントの今井くんも堅さが取れて、今井くんらしさが感じられるようになってきました。それと共に動画の解説内容にも深みが出てきたように感じています。
今回は学校英語の問題点についても指摘をしています。勘違いしてほしくありませんが、私は学校英語をすべて否定するつもりはありません。やはり、効率よく英語を学ぶという意味では、うまく構成されていると感じるからです。
ただ、英語を英語のまま学ぶという観点も加えなければ、今後も英会話や英作文でつまづいてしまう人を生み出し続けてしまうと懸念しています。動画内容にご賛同いただける方は、ぜひSNSやブログなどで動画を広めていただけると大変うれしいです。(遠藤)