日本語研究『は』の動画要約

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日本語研究『は』~範囲を区切る~ / 「象は鼻が長い」をコアイメージで解説

日本語研究『は』。ゆる言語学ラジオさんの「象は鼻が長い」回の内容に相乗りする形で、『は』のコアイメージを元に用法を統一的に解説しました。

※こちらの記事は、日本語研究の動画内容を要約したものです。

動画内容は書籍『英会話イメージトレース体得法』に基づいて解説しています。動画とあわせてご活用ください。

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導入

皆さんは「ゆる言語学ラジオ」ってご存知ですか?
その名の通り、日本語を始めとした言語学について、言語学素人の堀元さんと、言語学ガチ勢の水野さんが、言葉に関するネタをゆるく語っている動画チャンネルです。

このゆる言語学ラジオさんの動画に『「象は鼻が長い」の謎-日本語学者が100年戦う一大ミステリー』という回があります。

この回では、学校で主語として説明される「は」と「が」について、これまでの歴史的経緯を含め、その違いを解説されているんですが、この回を見て、自分だったらどう説明するかなーと触発されて、今回動画を取ることにしました。

中学英語イメージリンク

「は」とは何者なのか?

今回は、次のような「は」を用いた例文を元に「は」とは何者なのかを考えていきたいと思います。

・象は鼻が長い
・吾輩は猫である。名前はまだない。
・昨日は渋谷で映画を見た。
・東京は神田の生まれです。

まず「は」は主語を表すわけではないんですね。ゆる言語学ラジオさんでどのように説明されていたか、おさらいしておきましょう。

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「は」主題を表す

象は鼻が長い

この「象は」は、主題が「象」であることを表しています。つまり、「象」をトピックにあげて、これから話すことは「象」についてのことだというわけですね。

主語じゃなくて主題だよってことでした。

この「主題」の特徴として、文を超えても維持される、というものも挙げられていました。

吾輩は猫である。名前はまだない。

主題は特権的な位置にあって、「。」がついても止まりません。例文で言えば、2文目の「名前」は「吾輩の名前」であり、最初に主題として設定された「吾輩」は特権的な位置のまま続いているわけです。

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「は」本当に主題なのか?

しかし、「は」が主題・トピックだとすると

昨日は渋谷で映画を見た。
東京は神田の生まれです。

これらの文の主題が「昨日」や「東京」になる、ということになってしまいます。でも、「昨日」や「東京」が主題だと言われても、ちょっと微妙な感じですよね。

実際のところ「昨日は」の「は」は「対比」を表しています。「昨日は」と言うことで「他の日とは違って…」というニュアンスを含めているわけです。

もうひとつの「東京は神田」の「は」は、現時点では「取り立て」を表していると説明されることが多いようです。

「は」のコアイメージ「範囲を区切る」

前置きが長くなってしまいましたが、私が「は」をどう捉えているのか、その解説をしていきたいと思います。
「は」のコアイメージは「範囲を区切る」です。範囲を区切って、その範囲内のことを述べていくイメージです。

たとえば、恵子という人がいて

・恵子は人使いが荒いよなぁー
・恵子は意外と優しいんだよ

とか言いますよね。これは恵子の範囲内のこととして恵子の性質などを述べているわけです。

「範囲を区切る」イメージで、例文を見ていってみましょう。

象は鼻が長い

これは「象は」のところで、象という範囲を区切っています。あとに続く「鼻が長い」は、当然象についての話になります。

この区切った範囲の働きに名前をつければ、主題ということになるわけです。

吾輩は猫である。名前はまだない。

範囲を区切るというシンプルなイメージは、文を超えても前の主題を続けることができる、という特徴も説明しやすくしてくれます。

図にあるように「猫である」に加えて「名前はまだない」も「吾輩」の範囲の中でのことです。このように主題は文を超えて維持できるわけです。

なお、ここで「名前は」にも「は」がついていますよね。

正確に表すならば、吾輩の範囲内に、名前の範囲が区切られているという入れ子構造になっています。

昨日は渋谷で映画を見た。

範囲を区切るという働きは、対比という働きもごく自然に導きます。区切ったときに、その範囲外を意識していたら、自然に対比が発生するからです。

この例文で言えば、「昨日は」という表現からは「他の日とは違って…」というニュアンスが含まれていますよね。

範囲を区切ることは、他と区別することにつながります。そこから「対比」の働きが出てくるわけです。

東京は神田の生まれです。

最後の「東京は神田」についてですが、結論から言うと「東京は」で「東京」にわざわざ区切りをつけているイメージで捉えてください。

このとき、「東京」という範囲を区切ることで強調しています。そのため「取り立て」と言ってもいいですし、シンプルに「強調」と言ってもいいと思います。

日本語の「は」についてのまとめです。

「東京は神田」はクセが強い

「東京は神田の生まれです」については、「取り立て・強調」でだいたい良いとは思っていますが、その使い方には少し癖があると思っています。

具体的には「東京は神田」と「東京は八王子」を比べたら、「東京は神田」のほうがしっくりくるなぁというものです。その理由を少し述べてみたいと思います。

「東京は」で「東京」を浮かび上がらせているわけですが、このとき、「東京」という範囲内の情報のうち「東京と言えば高層ビル、下町、古本屋街、首都、繁華街、大きな公園」といったような代表的なイメージも浮かび上がらせているのではないかと思っています。そのような代表的なイメージを参照している分だけ、強調の度合いが強くなっているのではないかなと…。

そのため「東京は神田」のような代表的なイメージと結びついている場合はしっくりきますが、「東京は八王子」のように代表的なイメージと結びついていない場合は、普通に「東京の八王子」の方が使われやすいのではないかなと思っているというわけですね。

もちろん、東京という地図上の範囲を区切って強調しているだけということもあると思うので、使ったらダメとか、おかしいとかって意味ではありません。あくまで傾向として、ということです。

「は」コアイメージの出典

今回の解説は弊著『英会話イメージトレース体得法』を元にしています。

こちらの本は、日本語と英語の「モノの見方」の違いを知って、スムーズに英作文できるようになることを狙った書籍です。

今回の動画で解説した「は」以外の日本語の助詞などもイメージで解説しているので、よかったら見てみてください。

編集後記

まず、今回の動画は日本語研究で、英語はまったく出てきません…。いつもの中学英語シリーズとは別のものとお考えください。

でも、中学英語シリーズでも言及していますが、日本語のイメージを知ることは英語の世界観を理解しやすくしてくれる側面があります。

私たちが日常的に使っている日本語、その裏側がどういうイメージで構成されているのか、ぜひ覗いてみてください!きっと面白いと思いますよ(^^)(遠藤)

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