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前置詞を用いて「後で状態を説明する」という英語ならではの英文の作り方を解説します。
前置詞のはたらき
Noriko | (Calling upstairs) Shinichi, your snacks are ready. Come downstairs. |
N | There are many different cakes in the box. |
Noriko | Taro, which one would you like to have? |
Taro | Iʼd like the chocolate cake. |
Mami | Oh, I wanted the chocolate cake. |
Taro | Then Iʼll choose a different one. Go ahead and take it, Mami. |
From「A Heartwarming Family」Story.3『Going to a friendʼs house』 |
There are many different cakes in the box.
まず例文のthereとinについて解説しておきましょう。
thereの基本イメージは「そのあたりに(存在している)」です。そのあたり(場)にもやもや(何か)が存在している状態を表しています。
次にin the box のinの基本イメージは「~の中に(ある)」であり、こちらも「存在」のニュアンスが含まれる単語です。何かの内部にある状態を表しています。
日本語訳ではinに動きがあるようなニュアンスは感じられませんが、英文ではinが矢印として働きます。イメージで表すと次のようになります。
ここでも体を使ってイメージを深めましょう。
- 1.There areと言って、話題にしたいモノが存在するあたりに手を向けてそのままにしておきます。
- 2.many different cakesと言って、話題にしたいモノと多くの異なるケーキを結びつけます。
- 3.inと言って、そのケーキの周辺を包みこむように手を動かします。
- 4.the boxと言って、その周囲を包み込んだモノを「箱」とします。
このように実際の会話でinは、toやforと同じように動きのある単語になります。だから矢印で表現されているのです。
学校ではmany different cakes in the boxを「in the boxが後ろからmany different cakesを修飾する」と説明します。このような説明は先ほどの形式主語と同じくきれいに訳すための方法です。
ネイティブは返り読みをしません。inやforなどの前置詞は動詞と同じで、左から右への動きを表す矢印です。後ろから前に戻すようなものではないのです。そのように認識すると文章の構成がどうなっているのか理解しやすくなると思います。
日本語訳 | |
典子 | (1階から2階に向かって)信一、おやつよ。おりてらっしゃい。 |
N | 箱の中に色んな種類のケーキが入っています。 |
典子 | 太郎君、どれがいい? |
太郎 | 僕、チョコレートケーキ。 |
真美 | えー。私もチョコレートケーキがよかった。 |
太郎 | じゃあ、僕は違うのにするから、真美ちゃん食べなよ。 |
「ほのぼの家族」Story.3『友達の家に遊びに行く』より |
【Coffee Break】
今井 many different cakes in the boxの訳は「箱の中の色々なケーキ」で、「箱の中の」から始まりますね。だから英語で話すときにmany different cakes から言葉が出てきにくいのだと思います。いまでは慣れたのでかなり英語の語順で言えるようになっていますが、これって慣れるしかないんでしょうか?
遠藤 日本語と英語で語順が違っているというのは本当に悩ましい問題ですよね。そもそも日本語で話すときにモノをどういう順番で見ていくか、意識したことはないと思います。それくらい身にしみついているモノの見方なので、英語を話そうとするといつもつっかえてしまうんだと思います。
慣れるしかないといえばそのとおりなのですが、「中心から周辺へ波紋が広がるように進む」という英語の流れを意識していれば慣れるのも早いと思いますよ。
またこの例文の最初はthereですが、thereは「話題にしたいモノがあるあたり」を表すので、there と言った時点でネイティブはthere の中心にケーキを見ているわけです。ケーキの箱はその後にイメージされます。このようにネイティブが描いているイメージから理解することが大切です。なぜこのような言い方がネイティブにとって自然なのかということを納得しながら慣れていってほしいと思います。
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