§5-0 英語の特徴、日本語の特徴

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まずは英語という言語を広い視野で眺めてみることにしましょう。次のストーリーを元に、日本語・英語がどのような特徴を持っているのか考えてみてください。

太郎が元気良く玄関を開け、学校から帰ってきます。
太郎 ただいま、お母さん。
恵子 おかえり。ちょうどいいところに帰って来たわ。おつかいに行ってくれない?
太郎 え~。やだよ。
恵子 今、花子が寝たところだから、その間に晩御飯、作っちゃいたいのよ。
太郎 もう、めんどくさいな。
恵子 (手でサイズを作り)これぐらいの大きさのオリーブオイルをお願いね。
太郎 別に普通の油でいいじゃん。
恵子 オリーブオイルじゃなきゃダメなの! はい。お金。
太郎 本当に人使い荒いんだから。
「ほのぼの家族」Story.1『おつかい』より

N Taro comes home from school and opens the door enthusiastically.
Taro Mom, I’m home.
Keiko You’re back. You’re just in time. Will you go to the supermarket for me?
Taro Aw, I don’t want to.
Keiko Hanako just fell asleep, and I want to prepare dinner while she’s still sleeping.
Taro Ugh, what a pain.
Keiko (Measuring with her hands) I’d like a bottle of olive oil this big.
Taro Can’t you just use regular oil?
Keiko It has to be olive oil! Here’s some money.
Taro You’re really making me work.
From「A Heartwarming Family」Story.1『Errands』

▶英語音声の再生

文章を眺めていても、なかなか特徴はわかりませんね。そこで、英語の出だし部分に下線をつけたので、下線部だけを音読してみてください。

N Taro comes home from school and opens the door enthusiastically.
Taro Mom, I’m home.
Keiko You’re back. You’re just in time. Will you go to the supermarket for me?
Taro Aw, I don’t want to.
Keiko Hanako just fell asleep, and I want to prepare dinner while she’s still sleeping.
Taro Ugh, what a pain.
Keiko (Measuring with her hands) I’d like a bottle of olive oil this big.
Taro Can’t you just use regular oil?
Keiko It has to be olive oil! Here’s some money.
Taro You’re really making me work.
From「A Heartwarming Family」Story.1『Errands』

繰り返し音読をしていると、英語では最初に「何がどうする」という動作を表現していることに気づくと思います。この「何が」をSubject(主語)、「どうする」をVerb(動詞)と呼んでいます。このように英語は最初の部分(下線部分)を抜き出すだけで物語の「動き」が追いやすいという特徴をもっています。

それでは日本語はどういった特徴をもっているのでしょうか。日本語訳の出だしに同じように下線をつけて比較してみましょう。

太郎が元気良く玄関を開け、学校から帰ってきます。
太郎 ただいまお母さん
恵子 おかえりちょうどいいところに帰って来たわ。おつかいに行ってくれない?
太郎 え~やだよ
恵子 花子が寝たところだから、その間に晩御飯、作っちゃいたいのよ。
太郎 もうめんどくさいな
恵子 (手でサイズを作り)これぐらいの大きさのオリーブオイルをお願いね。
太郎 別に普通の油でいいじゃん。
恵子 オリーブオイルじゃなきゃダメなの! はいお金
太郎 本当に人使い荒いんだから。
「ほのぼの家族」Story.1『おつかい』より

日本語は省略が多かったり語順がカチッと決まっていなかったりするので、英語ほど傾向はわかりやすくありませんが、最初に「学校から」「おつかいに」「これぐらいの」「オリーブオイル」といった行為の対象となるモノが表現されています。最初の部分を抜き出して読み上げていくと、物語にでてくる「モノ」が連なって登場するという特徴があります。

また、英語では最初にくる動作が日本語では最後に表現されているので、最初の部分(下線部分)だけでは何をするのか動作が不明確だともいえます。

「何をするのか」を表す動詞はその文の「結論」を述べるものなので、日本語は先に結論を述べるのではなく、対象物という「周辺」にあたる事柄をまず述べているということになります。日本語には「先に周辺、後で結論」という大きな方針があるといえるのです。

一方で、英語は最初に主語・動詞が述べられるので、先に「結論」を表しているといえます。そして後でその動作につながっている事柄を「説明」していくというパターンをとります。つまり英語には「先に結論、後で説明」という大きな方針があるといえるのです。

このように大きな方針が英語と日本語では異なっているので、日本語の発想のままでは英語を話すことは難しいのです。英文を暗唱しようとしたときに「まず何から始まるのだったっけ?」となってしまうのは、この日本語の発想が邪魔をしていたからなのです。

最初に周辺情報をもってきて後で結論を述べる日本語の語順に慣れている私たちは、先に結論(主語・動詞)を述べる英語の最初の言葉がなかなか出てきません。だから英文の最初が出てくるようになるための練習「音読イメージリンク02)音読イメージリンクについては後日ページを公開します」が必要なのです。

▶次のセクションはこちら

§5-1 先に結論、後で説明
【1】「SV」は結論部分 「先に結論、後で説明」という英語の表現方法はたとえるなら水面に石を投げ込んだときに、中心点から周辺に向か...
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注釈   [ + ]

01, 02. 音読イメージリンクについては後日ページを公開します

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Masayoshi Endo
英語と日本語の研究をしています。専門分野は認知言語学です。著書は『英会話イメージリンク習得法』『英会話イメージトレース体得法』、英会話教材『英会話エクスプレスシリーズ』。英会話エクスプレス出版代表。日本認知言語学会所属。