第2節 subjectと主語

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先ほど「話し手の立ち位置」のところで述べたように、日本語と英語の大きな違いはプレイヤーを表すモノが画面上に見えているか見えていないかでした。これを英語では「subject」、日本語では「主語」と呼んでいます。

【1】subjectの基本イメージ

subject のsubは「下へ」という方向を表す接頭語です。jectは「投げる」とか「置く」という意味です。したがってsubjectで「下へ投げる/投げられたもの」「下へ配置する/配置されたもの」になります。これがsubjectの基本イメージです。

そこから「支配を受ける」というニュアンスが発生します。例えば「British subjects」と言えば「イギリス臣民」という意味になります。

また15世紀くらいから音楽や絵画などの「テーマ」という意味でも subject が使われるようになりました。これはsubject matterのmatterが省略されたもので、芸術の表面には出てきていないけれども、その底流に流れているテーマや主題を表します。

さらにsubjectは「実験の被験者」や「容疑者」という意味にもなります。

このようにsubjectには「受ける」というイメージがあります。支配を受ける、芸術の底流に置かれる、実験を受ける、疑いを受けるなどすべて「受ける」のニュアンスが感じ取れます。

【2】subjectと主語の間のズレ

このようにsubjectには「受ける」というニュアンスがありますが、「主語」という訳語にはそのニュアンスがありません。この訳語のために私たちはsubject のイメージを正しく捉えられなくなっています。

英文法のsubjectはこれから話すことをポンと足元に投げ落とすようなイメージです。日本語の「主語」という言葉から感じられるような「行動する主人公」というものではないのです。

subjectはこれから話すことをポンと足元に投げ落として、話がそこからスタートすることを示すものです。「主語」という訳語にとらわれずにsubjectのイメージをつかむようにしてください。

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第3節 英語の原始的構造
ここまで英語の語順はインベーダーゲームの「自機が、撃つ、敵を」であると説明してきました。この「自機」がsubjectだったわけです。ここから...
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