第48章 仮定法

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中学英語の最後は「仮定法」です。仮定法とは、過去形を用いることで「現実と異なることへの願望」などを表す方法のことです。wish を用いた「~だったらいいのに」、if を用いた「もし~だったら、~なのに」という表現を元に、仮定法について説明します。

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仮定法とは

(太郎に信一が電話をかけています)
信一 もしもし、太郎? いまから釣りに行かない?
太郎 ごめん、今日は無理だ。家で妹の面倒見なくちゃいけなくてさ。
信一 そっかー、残念。
太郎 うん。一緒に行けたらよかったんだけどね

例文:I wish I could go with you.(一緒に行けたらいいのに)

I wish I could ~ は「~できたらいいのに」という意味です。

「いまから釣りに行かない?」という現在のことに対して、could という過去形を用いることで、「~できたらいいのに」(現実と異なることへの願望)を表すことができます。このような過去形の使い方を「仮定法」と呼びます。

しかし、どうして過去形を使うと、このような「現実と異なることへの願望」を表せるのでしょうか。その仕組みを確認しておきましょう。

過去形を使うことで現実から距離をとっています。そして、現実のところに空いた余白に「一緒に行きたかったんだけど、行けなくてごめんね」のような気持ちを込めているわけです。

なお、どのような気持ちを込めるかは話し手次第です。「ごめん」と謝る気持ち以外にも、「釣りに行けなくて残念」という気持ちを込めることもできるので、前後の文脈から読み取る必要があります。

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非現実的な前提条件

夏帆 今日、例の映画の公開日だね。見に行くんでしょ?
千穂 それが行けないの。仕事が溜まってて残業確定……。
夏帆 えー、すごく楽しみにしてたじゃん。
千穂 あーあ。時間があれば、今晩映画館に行くのになあ

例文:If I had time, I would go to the cinema tonight.(もし時間があったら、今晩映画館に行くのに)

If I had で「もし私が~をもっていたら」、I would ~で「~するのに」という意味です。

「If+過去形」という形で、「非現実的な前提条件」を表しています。

実際のところ映画館に行く時間はないわけですが、If I had time と過去形を用いることで、「もし時間があったら」と現実にはありえない前提を置いているわけです。

続く文で、I would のように助動詞の過去形 would が使われているのは、気持ちを表すためです。

would は「~だろうに、~するのに」、could は「~できるのに」という意味を表します。

現在形を用いた場合

比較:If I have time, I will go to the cinema tonight.(もし時間があれば、今晩映画館に行きます)

この場合は「時間があれば行くし、時間がなければ行かない」となります。If I have や I will のように現在形を使うと、現実についての話になるわけです。

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be動詞は were を使う

(携帯電話の最新機種のパンフレットを見ながら)
大和 うーん、これとか良さそうなんだけど、どう思う?
智一 俺なら、それを買うね
大和 なんで?
智一 いま売ってる携帯の中で一番小さくて、ポケットに入れても違和感なさそうだからな。

例文:If I were you, I would buy it.(もし私があなたなら、それを買うだろう)

If I were you で「もし私があなただったら」、I would ~で「~するだろう」という意味です。

仮定法において、be動詞は was ではなく were を使います。

ふつうは was にするところを、あえて were にすることで、現実と異なる話であることを強調していると考えるとよいでしょう。

また、今回出てくる助動詞の過去形 would は「~だろう」とシンプルに思い描いたことを表しています。

過去形にすることで余白をつくることができるわけですが、そこに気持ちを込めてもよいし、何も込めなくてもよいのです。

なお、If I were you のような非現実的な設定をした上での推量(~だろう)なので、would と過去形にする必要はあります。

今井 遠藤さん、200万円くださいっす。
遠藤 突然なんですか…。何に使うの?
今井 最新のドローン買うのにお金がいるんっすよ。
遠藤 そんなの自分で稼いで買いなよ。
今井 やっぱダメか。200万円あれば、新しいドローンが買えるのになあ…

If I had two million yen, I could buy a new drone.(もし200万円あれば、新しいドローンが買えるのになあ)

ーーー

ことばの研究室

■ were は was ではダメなのか?

今井 If I were you(私があなただったら)はまだ意識できそうですけど、If it were sunny(天気が晴れだったら)は If it was sunny と言い間違える自信がありますね。これ、was だとダメなんですか?

遠藤 実際のところ、話し言葉では was も使われています。正しくは were ですけれど、やはり主語が I や it だと、was と言ってしまうのでしょうね。

今井 なんだ、ネイティブでも言い間違えるんですね。

遠藤 were は仮定法であることを明確に伝えるための配慮だと考えるとよいと思いますよ。

■ 厄介な依頼を、仮定法で角を立てずに回避する

今井 しかし、仮定法という言葉自体がとっつきにくいですよね。今回の説明を聞いて、空想表現のようなわかりやすい言葉にすればいいのにと思いました。

遠藤 確かに空想したことを伝える表現ですからね(笑) いずれにせよ、大切なことは「気持ちを込めることができる表現」ということです。

今井 そういえば、仮定法を訳すときに「一緒に行けたらいいのに」の後に(現実には行けない)のような但し書きをよく加えているじゃないですか。僕はこの但し書きを見るたびに、なんかピントがズレているよなあって感じてたんですよね。

遠藤 (現実には行けない)は確かにその通りですが、話し手が本当に思っていることは(一緒に行けなくてごめんね)とか(一緒に行けなくて残念)とかですからね。

 仮定法はそういう気持ちを伝える表現方法なのに、但し書きを加えることでそれらの気持ちを無視することになってしまうとしたら、それはよくない訳し方だと思います。

今井 本当にそう思います。あと、学校で習う仮定法って「良い子ちゃん」しすぎていませんか?

遠藤 急になんですか(笑)

今井 たとえば、I wish I could だと、いつも「そうできたらいいのに」と前向きに訳している気がするんです。でも、僕だったら、厄介な頼まれごとに対して「いやー、できればそうしたいんですけどね」とかわすときに使うと思うんですよ。

遠藤 あー、なるほど。ネイティブもそういう使い方をしますよ。本心では(やりたくないなぁ、行きたくないなぁ)と思うような依頼に対しても、I wish I could を使えば角を立てずに断れますからね。

今井 やっぱりそうですよね。そう考えたら、仮定法って便利ですね。

遠藤 含みをもたせられますからね。使い勝手のいい表現方法だと思いますよ。

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