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また、一般動詞では3人称・単数・現在形(3単現)の場合に s をつけて形を変えます。特別な形 es をつけるパターンもまとめていますが、最初はさらっと読み進めていってくださいね。
一般動詞の働き
例文:I play soccer.(私はサッカーをする)
例文における play が一般動詞です。「私→サッカー」のように一般動詞は動きを表します。
be動詞と一般動詞
よくある間違いとして、be動詞と一般動詞を並べて使ってしまうというものがあります。
英語では「1つの文には1つの動詞」が原則です。am like のように be動詞と一般動詞を並べて使ってはいけません。
3単現の s
be動詞は主語によって使う形を変えていましたよね。一般動詞でも主語によって使う形が変わります。
一般動詞では、3人称単数現在形のときだけ s をつけた形に変えて使います。
特別な形の3単現(esなど)
多くの一般動詞の3人称単数現在形は -s をつけるだけですが、それ以外に -es をつけるパターンなどもあります。
Mr. Imai likes military martial arts.(今井くんは軍隊流格闘技が好きです)
Mr. Imai has a drone.(今井くんはドローンをもっています)
※ military martial arts「軍隊流格闘技」 drone「ドローン(無人飛行物体)」
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ことばの研究室
遠藤 今井くん、ここまでのところで、どう感じましたか?
今井 「あー、英文法がはじまったなぁ…。嫌だなー」というのが、率直な感想ですね。
遠藤 本当にストレートな感想ですね(笑) ただ、確かに覚えることがたくさんあると、うんざりしてしまいますよね。
今井 僕は暗記が得意ではないですし、実感の伴わない話が続くとつまらないので読む気がなくなるんですよね。
遠藤 それはそうですよね。なので、この「ことばの研究室」では、言葉の裏側にある人間らしさを、なるべくわかりやすく説明できればと思っています。
■ 英語は「真っ白なキャンバスに絵を描く」
遠藤 さっそくですが、これまでに「日本語では主語は省略できるが、英語では主語が必要」という説明を聞いたことはありませんか?
今井 ありますね。「ふーん、そうなんだ…」という感じでしたが、それがどうかしたのですか?
遠藤 実はこれ、日本語と英語で「物の見方」が違っていることに由来しているのです。
今井 物の見方……? うーん、なんですか、それは?
遠藤 まず「日本語では主語は省略できるが、英語では主語が必要」について例文で確認してから、物の見方について説明していきますね。
日本語:あなたにこのマンガを貸してもいいよ。
英語:I can lend you this manga.(私はあなたにこのマンガを貸してもいい)
※ can「~できる」 lend「貸す」 can lend「貸すことができる」→「貸してもいい」
日本語の例文にあるように、日本語では話し手である「私」を言語化しないのがふつうです。その場にいるのだから、わざわざ言う必要はないという感覚ですね。
今井 あー、確かに。日本語で「私はあなたにこのマンガを貸してもいいよ」と言うと、なんだか「(他の人と違って)私は」みたいなニュアンスが含まれてしまいそうですよね。
遠藤 そうです。日本語では「その場にいるもの」については言語化しない方が自然に聞こえるのです。このような日本語の特徴を「場に入り込む」と言います。日本語では、話し手が場に入り込んで、そこから見えるものを表現しているわけです。
今井 なるほど。それで「私は」と言うと、わざわざ言っている感じになるんですね。そうすると、主語が必要な英語では、話し手は場に入り込んでいないってわけですか?
遠藤 その通りです。英語では、話し手は場に入り込んでいません。そのため、描こうとしている状況に I(私)がいるのであれば、必ず言語化しなければいけないのです。主語が必要というよりも、登場人物を表に出さないといけないというわけですね。
今井 少し離れたところから見ているような感じでしょうか?
遠藤 そうですね。英語は「真っ白なキャンバスに絵を描く」ように捉えるとよいですよ。
■ 日本語と英語の語順
今井 日本語と英語で物の見方が違っているのはわかりましたが、語順についてはどう考えればいいですか?
遠藤 語順については、日本語と英語を次の2つのゲームにたとえて説明しますね。
・銃を撃つゲーム:手元にある銃を使って、画面上の敵を倒していくゲーム。
・シューティングゲーム:画面上の自機を操って、敵を倒していくゲーム。
今井 両方ともゲームセンターなどに置いてあるようなゲーム機ですね。それで、日本語はどちらのゲームなのですか?
遠藤 日本語における物の見方は「銃を撃つゲーム」の方です。この場合、プレイヤー自身の姿は画面上に現れません。攻撃するときも「敵を・撃つ」という順になります。日本語に置き換えれば、「何を・どうする」という語順になるわけです。
今井 そうすると、英語は「シューティングゲーム」の方ですか。これって自分の機体からピコピコと弾を撃って、その弾が敵に当たったら敵を倒せるというゲームですよね。
遠藤 そうです。シューティングゲームでは、プレイヤーを表す自機が画面上に表示されています。攻撃するときも「自機が・撃つ・敵を」という順になります。英語に置き換えれば、「誰が・どうする・何を(主語・動詞・目的語)」という語順になるわけです。
今井 なるほど。語順もそれぞれの物の見方に沿ったものになっているんですね。